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【繭玉】(まゆだま)
 小正月の飾り物。柳・榎・山桑・アカメガシワなどの枝に多くの餅・団子
 などをつけたもの。
 繭の豊かにできることの予祝。のちには柳などの枝に菓子種で作った球を
 数多くつけ、七宝・宝船・骰子さい・鯛・千両箱・小判・稲穂・当矢(あ
 たりや)・大福帳など縁起物の飾りを吊るし、神社などで売った。
 まいだま。まゆだんご。
 新年の季語。
   《広辞苑・第七版》

 餅を繭の形に小さく切り、柳などの枝に沢山つけた小正月の飾り物で中部、
 関東、東北地方などに多く見られます。枝につける飾り物は主として繭をか
 たどった餅や米粉の団子ですが、近頃は米粉で作った繭の形の軽い煎餅で代
 用することが多いようです(「近頃」とは書きましたが、私が子供だった40
 ~50年前もそうだったので大分昔からそんな感じだったようです)。

 辞書の語釈では繭玉を飾る枝の木は「柳・榎・山桑・アカメガシワなど」と
 ありますが、私の生まれた土地では水木の枝を使ったようです。この辺は地
 域性があるのでしょう。

 ちなみに小さな子供の頃、私は繭玉をつける木を「ぎっこんばったんの木」
 と呼んでいたような記憶があるのですが、この「ぎっこんばったんの木」が
 方言のようなものだったのか、それとも私の家族内だけで通用する勝手な呼
 び名なのかは定かではありません(父母は他界。兄姉に尋ねてみるか?)。

 繭玉はその名前からも判るとおり、繭(夏の頃に収穫される)の豊収を願う
 ことから始まった風習ですので、養蚕が盛んな地域で古くから行われていた
 行事ですが、後には農業の豊作、商売繁盛などを祈る行事のようにその目的
 が拡がっていったようです。

 繭玉の飾り物は、繭玉だけでなく養蚕に係わる道具をかたどったものなども
 ありますが、繭玉に豊作や商売繁盛の性格も帯びて来てからは、農具や小判
 をかたどった飾り物なども現れ、古くからの紅白の繭玉の飾り物と並んで枝
 に飾り付けられるようになっています。

 自分で繭玉を作っているという方は少なくなっていると思いますが、繭玉は
 縁起物として神社の参詣土産などとして販売されることもありますので、そ
 うしたものを目にしたことのある方は多いと思います。あるいは、昔は個々
 の家の中に飾られた繭玉飾りですが、現在では商店街の装飾品として使われ
 る(商売繁盛の縁起物ですから)ことも多く、もしかしたらこれが、現在一
 番目にする機会の多い繭玉かも知れませんね。

 なお、繭玉が餅や米粉の団子であった時代は、この餅や団子を左義長の火で
 炙って食べたり、小豆と一緒に炊いて食べたりしたそうですが、簡略化され
 た現在の飾り物ではそうした楽しみ方は出来なくなっています。
 一度くらい、やってみたかったなと思います。
 今からでも遅くないかな?

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