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【麗らか】(うららか)
 1.空が晴れて、日影の明るくおだやかなさま。多く春の日にいう。
  うらうら。うらら。春の季語。
  源氏物語(橋姫)「春の麗らかなるひざしに」。
  「麗らかな日和」
 2.声の明るく朗らかなさま。
  源氏物語(胡蝶)「鶯の麗らかなる音に」
 3.心のさわやかなさま。心の晴れ晴れしいさま。
  浜松中納言物語(4)「麗らかにうちとけ給えば」
   《広辞苑・第六版》

 「麗らかな日和ですね」

 そんな挨拶の言葉が交わされる気候になりました。
 辞書の語釈の最初に掲げられた

  「空が晴れて、日影の明るくおだやかなさま」

 がぴったりの季節です。
 辞書には「声の明るく朗らかなさま」「心のさわやかなさま」といった意味
 もあると説明もありますが、この2つにしても声の様子や心の在り様を、春
 の日の情景に重ね合わせて連想して生まれた用法のように感じます。

 冬の寒さに耐えていた人も動植物も、春の陽を浴びて成長の季節を迎えた喜
 びを感じる頃、この言葉を思い出します。

 麗らかの「麗」はまた「麗しい」という言葉にも用いられます。
 麗しいとは単に美しいものに向けられる言葉ではなく、気品や気高さを感じ
 させる美しさに呈せられる言葉のような気がします。

 春の日射しは美しさ、気高さを優しい暖かさに包んで、全ての生き物たちの
 上にそそがれます。
 そんな春の日の様を表すには「麗らか」という言葉がぴったりですね。

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