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【雷】(かみなり) (神鳴の意) 1.雲と雲との間、雲と地表との間に生ずる放電現象。 また、これに伴う音。積乱雲の内部に発生した電位差によって生ずる。 雷雲の生ずる原因によって熱雷・界雷・渦雷などに分ける。いかずち。 夏の季語。 狭衣物語(3)「雷の、二度ばかり、いと高く鳴りて」 2.雷神。雲の上にいて、虎の皮の褌をしめ太鼓を打ち、へそをとるという。 かみなりさま。かみ。なるかみ。 夏の季語。 狂言、雷「身共は雷じやいやい」 3.口やかましく責めること。がみがみいうこと。また、その人。 「雷を落とす」。 《広辞苑・第六版》 「昔はよく、雷親父に雷を落とされていたな」 今の時代は、みんな優しくなって、雷を落とす人も少なくなって、雷親父な んて言葉は死語になりつつありますが、雷を落としてくれる人がいた昔と、 雷を落とす人がいなくなった今と、「優しい時代」はどっちなんだろうな? 語釈の3番を読みながら、ふとそんなことを思いながら、本日のコトノハを 書いています。 閑話休題 雷はまた、「いかづち」とも呼ばれます。 「いかづち」は「厳(いか)つ霊(ち)」の意味で、神霊の恐ろしい一面を 表す言葉です。 元々は、この恐ろしい神を意味する「いかづち」が一般的な言葉であったも のを、和歌などで多く使われる雷鳴(なるかみ)を「神鳴る」と表し、これ が一般化して「かみなり」と表されるようになったと考えられます。 「いかづち」が次第に廃れ、「かみなり」となっていったのは中世の頃と言 われます(日本語源大辞典より)。 「神鳴り」と言うくらいで、その特徴は大きな音、そして光です。 音が神の鳴らす音なら、光は稲妻。 稲の実る頃に多く雷が現れることから、古代の人々は、雷光が稲の穂と結合 して実を実らせると考えたことから、この言葉が生まれたと考えられていま す。雷には恐ろしい面と、恵みの面とが共存しているようです。 そういえば、小さいころの息子は、雷が鳴り始めると、家の中にいても必死 でヘソを隠していたことを思い出しました。誰に聞いたのかは知りませんが あの頃の息子には、雲の上で虎の皮の褌をしめ、太鼓をたたく、怖い雷様の 姿が見えていたのでしょう。 恐ろしい神としての顔と、恵みをもたらす優しい神の顔とを併せ持つ雷、そ の恐ろしい面を代表する(?)雷親父が忘れ去られてしまうと、もう一つの 面である雷の恵みの面も忘れ去られてしまうのかも。 そんなことにならないように、嫌がられても落とさなければいけない場面で は「雷」を落とすことのできる「オヤジ」でいたいものです。 もっとも、既に自分より大きくなってしまった息子相手では、ヘソを隠させ るほどの力もないかもしれませんが。
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