日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■暦注の話 ・・・ 九星(5) こんなに長くなるとはと思いつつ九星の5回目です。 本日は昨日号に引き続いて、日家九星の閏についてです。 ◇陽遁と陰遁の切り替え・・・通常の切り替え 閏に入る前に一つ忘れていました話を書かねばなりません。それは陽遁と陰 遁の切り替えのこと。冬至付近から夏至付近に向かって九星の数字が増える 方向に向かう陽遁から、数字が減少する方向の陰遁への切り替え時には、九 紫が二度連続して現れます。 陽遁から陰遁 七赤 → 八白 → 九紫 → 九紫 → 八白 → 七赤 という具合です。この切り替えは普通夏至の前後30日以内のどこかで起こっ ています。同様に陰遁から陽遁への切り替えは一白が二回続き、 陰遁から陽遁 三碧 → 二黒 → 一白 → 一白 → 二黒 → 三碧 となります。こちらは冬至の前後30日以内のどこかに起こります(九星の閏 の期間でなければ)。 ◇日家九星の閏とは 日家九星の陽遁と陰遁がそれぞれ一巡りすると 180 × 2 = 360日 ですから 一年の長さより 5日強短く、このため転遁の時期が年ごとに早まってしまい ます。 この時期はもっとも遅い場合でも夏至・冬至の後30日を超えず、もっとも早 い場合でも前30日を超えませんから、およそ11~12年ごとに何かの補正を加 え、一年で 5日強の転遁時期前進を食い止める必要があります。これが九星 の閏です。 九星はもともと暦学で規定されたものではなくて、占として作られたものな ので、餅は餅屋としてこの閏の求め方は占いの本でと思っていくつか探して みましたが・・・ この六十日の日数を九星置閏法といいますが、その詳細は複雑で専門的 ですからここでは省略させていただきます。 《こよみの基本学 江口鳳祥編著 高島易断神宮館刊》 のように肝心のことを書いていない本が多い。何冊かあたりましたがまとも な解説がありません。占いの専門的な本にはあるのかもしれませんが、今の ところ占い師に転職する予定は無いのでそこまでの本は持っておりません。 仕方がないので、日家九星が長期間書かれた本の並びを元にして法則を探し ました。結果は次のようになります。 ◇日家九星の置閏法・・・かわうそ@暦の計算手順 1.夏至・冬至の日付を計算する 2.1 の日付の干支が六十干支の前半(甲子(0)~癸巳(29))であれば、直 前の甲子を、それ以外は直後の甲子を陽遁・陰遁の切り替え日とする。 3.2 で求めた日付の間隔が 180日なら通常の陽遁・陰遁の期間である(終 わり)。 4.2 で求めた日付の間隔が 240日なら、後半の60日が閏。 5.閏の前半30日は直前の遁と連続(陽遁なら、陽遁)し、後半30日は逆転 して次の 180日と連続する。 6.閏の前半・後半の切り替え部分はおなじ九星(三碧か七赤)が連続する。 です。この切り替えの部分では次のような九星の並びになります。 陽遁から陰遁 一白 → 二黒 → 三碧 → 三碧 → 二黒 → 一白 陰遁から陽遁 九紫 → 八白 → 七赤 → 七赤 → 八白 → 九紫 ◇日家九星の置閏法について(補足) 日家九星については、比較的歴史の浅い占いのためどうも置閏法に関しては 一定していないようで、そこは占の得意な「流派によって異なる」場合があ るという話になります。何冊か本をあたって、解説を書いているご本人が、 「自分で計算したことあるのかな?」 という感想を抱きました。自分で日家九星を計算するプログラムを書くため 考えた上記の手順にしても、そんなに複雑とは思えないのですが・・・。 既に、「流派による」と書いたとおり、現実には流派により日家九星の並び は異なることがあるそうです(自分があたった本では見つからなかったけれ ど)。これは日家九星が新しい暦注で、計算法の正式なテキストが存在しな いこと、実際の天文現象などとは関係のない架空の論理の上に成り立つもの であることから起こってしまう不統一です。 暦注はみな迷信ですが、具注暦に記載された暦注にははっきりした計算法が 記されたテキストが存在するので、あとは計算が正しいか否かの問題になり ますが、九星は計算の正しさ云々以前に「だれの計算方法を信じるか」とい う問題があります。ここから先は、 信じるものは救われる(?) の世界なので、私には何とも申せませんが。 ◇最後に あと時家九星とか、方位の九星とかもあるのですが、余り使うこともないと 思いますし、九星で5回も書けばもう十分かなとも思うので、九星の話はこ の辺までにしようかと思います。延長が必要・・・何て言う要望があればま た別ですが。
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