日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■天皇誕生日 今日は天皇誕生日。 昔風に言えば、天長節(てんちょうせつ)です。 天皇誕生日は終戦までは天長節という祝日でした。 戦後、新憲法の下で新しく国民の祝日に関する法律(一般に「祝日法」と呼 ばれています)が作られるときに、世論調査の結果「新年・正月」に次いで 二位の高率で祝日に取り入れることが希望された祝日です(世論調査の結果 は86.7% だったとか。すごい率です)。 ◇天皇誕生日の日付 天長節と天皇誕生日と呼び方は違いますが、天皇陛下の誕生日を祝う祝日と 言うことは同じです。厳密に言えば、「天皇誕生日」や「天長節」は祝日法 等で定められた祝日なので、必ずしも天皇陛下の誕生日がイコール祝日では ありません。 もちろん、「天皇誕生日」と天皇陛下の誕生日が別の日になるというのは、 常識的にあり得ないことですし、現在の祝日法で天皇誕生日は、 「天皇の誕生日を祝う」 とありますので、違う日になることは無いでしょうが、それでも前天皇の崩 御と同時に、自動的に天皇誕生日の日付が変わるわけではなく、祝日法の改 正を経て始めて日付が変更になります。 現に、昭和天皇の崩御は1989/1/7でしたが、天皇誕生日が 12/23に変更にな ったのはこの年の2/17です。 ◇「文化の日」は元々は天長節 現在文化の日となっている11/3は元をただせば明治天皇の誕生日。明治時代 は天長節でした。この日は大正時代には一旦祝日から姿を消しましたが、明 治天皇を大変尊敬なさっていた昭和天皇の時代に「明治節」として再び祝日 になり、現在は文化の日として、やはり祝日として残りました。 もっとも、建前上は文化の日と明治節は何の関わりもないことにはなってい るのですが。 ◇天皇誕生日と、天皇の誕生を祝う祝日が異なった時代 「天皇誕生日」と天皇陛下の誕生日が別の日になることは常識的には考えら れないと書いてきましたが、実はこの常識的では考えられないことがあった 時代がありました。事実は小説よりも奇なり? その時代というのは大正時代(大正二年~)。 大正天皇の誕生日は8/31で、この日は一応「天長節」ではあったのですが、 天長節に関わる諸式典等はこの日ではなくて、 10/31の「天長節祝日」とい うもう一つの祝日に行われていました。 これは、酷暑の時期の式典を嫌われた大正天皇のご意向によるとか。 まあ結婚に際して、入籍日と結婚式の日付が違うようなものだと考えれば、 これも有りだとは思いますが、それでもちょっと変わった話ですね。 ◇さて現在の天皇誕生日 さて本日は天皇誕生日。 ですが、学生諸君は「冬休み」という長期の休みの期間にかかっているため、 祝日としての有り難みが今ひとつうすい。 世間一般で考えても翌日、翌々日は、世界的な著名人(?)の誕生を祝う日 であり、どうもその陰に隠れてしまうのか、これまた有り難みが今ひとつ。 影が薄い祝日ですが、今日は目出度い今上天皇の誕生日。 思い出してくださいね。
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