日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■江戸の昔は寝正月 新年明けましておめでとうございます。 西暦2008年、平成20年が始まりました。 今年は子年、干支を表す「ねずみ」のように今年は(も)暦の隅っこをつつ き、思いついたことをこのこぼれ話に書いて行こうと思います。 ◇元日の風景 元日のニュースと言えば毎年必ず流れる映像があります。それは初詣の人で ごった返す神社の様子。 有名な神社ではそれこそ百万人を越える人出で、まさにごった返しておりま す。晴れ着できれいに着飾っている方々には申し訳ないですが、それこそ 芋を洗う ようなと表現したくなるほどです。元日一日の正確な人出は判らなかったの ですが、昨年までの正月三が日の初詣の人数の全国ベスト 5を見てみると、 1 位 明治神宮 (311万人) 2 位 成田山新勝寺 (290万人) 3 位 川崎大師 (287万人) 4 位 伏見稲荷大社 (270万人) 5 位 熱田神宮 (235万人) ()内は三が日の間の初詣に訪れた人の数の総計。 三日でこの人出では、芋を洗ったら汚れだけでなくて皮まで落ちてしまいそ うです。ちなみに上に掲げた1~5位は平成16~19の 4年間順位に変動がなく、 不動の順位だったようです。 さて、 3日でこの数ですから、単純平均すると一日で 100万人なんていう神 社(あ、お寺もあり)もあるわけです。伝統的年中行事が廃れた昨今などと いう言葉を耳にしますが、初詣に関しては廃れている様子は有りませんね。 (あくまでも人数だけの問題として考えた場合ですが) 流石にこれだけの人出が有れば、この人たちをターゲットにした商売も当然 成り立つというわけで、現在は元日早々から開いている店も多くなり、初売 りは二日からなんていう話は今は昔の話となってしまいましたね・・・? そういえば「初売りは二日」と昔からいわれていましたし、確かに二十年も 昔を思い出すと、元日から店がこんなに開いてはいなかった気がします。 現在のこんな元日の風景は、「昔からの風景」では無かったのでしょうか。 ◇伝統的な「寝正月」 と言う長い長い前振りをへて、ようやく本題です。 すでに、二十年ほど前を振り返れば今ほど元日から開いている店は無かった と書いたとおり、元日は商店も休みというところが多かった。 それ以前をご存じの皆さんなら、正月に急に何か必要なものが出来たときに、 開いている店が見つからなくて困ったなんていう「昔の体験」を思い出すの では。 二十年前を、三十年前、四十年前(この辺で私の記憶はお終い)、五十年前 と遡って行くと、この「元日の街は意外に静か」な傾向が強まって行くはず です。では江戸時代まで遡ってみると・・・行き着く先は「寝正月」でした。 元日の江戸の様子を描いたほんの一節を見ると 江戸中、町屋両側とも板戸を閉じて、往来すべて一物もなし。 ただ犬の彼方此方に伏けるを見る。 『絵本江戸風俗往来』より 街のあちらこちらに犬が寝そべっているのを見るだけとは、どうやら街は本 当に閑散としていたようです。 では人々は何をしていたかといえば、江戸の庶民は寝正月を決め込んでいた のでした。 大体、商人は大晦日には集金にかけずり回り、集まったお金を集計して帳簿 付など、まさに夜を徹しておこなっていたわけですし、それ以外の人たちも 大晦日の夜は年越しを祝って騒ぎ、元日は疲れて寝入っていたと言うわけで す。つまり元日はゆっくり休んで、仕事も年始の挨拶も何事も始めるのは二 日からというのが「伝統的な庶民の正月」だったようです。 ◇元日から忙しかったのは のんびり元日は寝正月を決め込める庶民と違って御武家様方は忙しかったよ うです。元旦の夜明け時からお城に登って年賀の挨拶、お城から下がれば、 親戚周りとすることが沢山。 どちらが羨ましいかといえば、私はやはり庶民の寝正月ですね。 今年の一番の願いは、「十分な睡眠」だったりしますからね・・・
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