日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■暦注と新暦と旧暦の関係 Web こよみのページに寄せられて質問メールの中で、新暦と旧暦そして、暦 注との関係について、 おおきな誤解 のあるものを最近頂きました。根本的な誤解であり、また時々耳にする誤解 でもあるので、本日は、この話を書いてみます。 ◇ある日の暦注と日付の関係 例として今日の暦注をひろってみます。 今日(新暦 2008/1/10, 旧暦 2007/12/3)の暦注のいくつか 六曜:友引 十二直:成 二十八宿:斗 (二十七宿:室) となっています。 ここで、新暦と旧暦の二つの日付が登場しますが、ではこの暦注は、1/10と いう日付に対する暦注なのでしょうか、それとも12/3の暦注なのでしょうか。 答え(?)は、どちらでもない。それは新暦で表せば1/10であり、旧暦で表 せば12/3となる「今日」という日に割り当てられた暦注であって、日付自体 に固定されたものでは無いからです。 ◇日付と暦注 暦注と日付とは関係ないと書きましたが、暦注を求める方法を見ると旧暦の 日付によって決まるものがいくつかあります。例として今日の暦注でいえば 六曜と二十七宿がそれです。この二つは、 旧暦の○月×日は△△ といった具合に旧暦の月と日で決められる暦注です。こうした旧暦の月と日 で決まるような計算方法を「暦月切り」といいます。 暦月切りの暦注に関しては、旧暦の日付に固定されている暦注ということが 出来ますので、 ア.旧暦の12月 3日は「友引であり、二十七宿では室宿にあたる」 というのは正しいです。 ですが、だからといって、 イ.旧暦の12月 3日は「友引であり、二十七宿では室宿にあたる」から、 新暦12月 3日も「友引であり、二十七宿では室宿にあたる」 ということにはなりません。ですが、イが成り立つと思っている方は案外多 いようなのです。 なぜそうなるのかと考えると、おそらく日付に固定された行事、例えば五節 供やお盆などの行事と混同されているためでしょう。 三月三日は桃の節供、五月五日は端午の節供で、昔は旧暦のこの日付で祝わ れていたものが、現在は新暦のこの日付で祝われるように、 日付と結びついた年中行事 があることから、暦注も同じだろうという考えが生まれたのではないでしょ うか。ですが今のところ暦注には「新暦の月日によって決まる」ようなもの は一つとしてありませんので、暦注は日付と結びついているという考えは間 違った考えです。 ◇主な暦注の計算方法 暦注の計算方法は、撰日法(せんじつほう)と呼ばれます。撰日法には既に あげた「暦月切り」のほかに、「節月切り」と「不断」と呼ばれる方式があ り、十二直は「節月切り」、二十八宿は「不断」による暦注です。 節月切りは、二十四節気の「節気」で区切られた仮想の月とその月の中の日 付で決められるものです。「不断」に関してはその名の示すとおり、連綿と 繰り返し使われるものです。 そうそう、「不断」によって決められる暦注といえば私たちがいまでもご厄 介になっている「曜日」もその一つ。 日月火水木金土日月火・・・ととぎれなく続く曜日は「七曜」と呼ばれるれ っきとした暦注です。ちなみに「日曜」は吉日です。 「暦注は新暦の日付で見るべきでしょうか、それとも旧暦の日付で?」 なんていう、おかしな質問をして恥ずかしい思いをすることは、日刊☆こよ みのページをお読みくださる方には無いと思いますが、こうした思い違いを している方が周りにいるようでしたら、やんわりと訂正してあげてください。
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