日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■「年」はなぜ一年を表す文字か? 質問を受けて、それが「こぼれ話」のテーマになることはよくあります。 そして今回もまたこの流れに従って一つ話が出来ました。 元となった質問は、 1年の『年』という字について なぜ そう呼ぶのか 起源 『年』にまつわる話題 以上について解説お願いします。 です。お願いされてしまっては仕方がありません。 では早速、始めましょう。 ◇年は『禾』+『千』 今私たちが『一年』というときの一年は、一太陽年、あるいは一太陽回帰年 と呼ばれる一年のことです。 単純にいえば、季節が一巡りする長さともいえます。 さて今回話題の『年』は周王朝の一年を表す文字です。 わざわざ周王朝の『年』と断った裏には、周王朝の前の殷王朝では『祀』が 一年を表す文字だったからです。 (『祀』についてはまた何れ、書けたらいいな・・・) 年の文字は 『禾』+『千』(または、『禾』+『人』) という文字が上下に組み合わされた文字です。 漢字としての意味は上の『禾』が担い、音符は下の『千』が担っています。 『千』は古い音では『人』と同じであったそうで、このことから、『禾』+ 『人』の形でも同じ意味と考えられます。 『禾(のぎ)』は、稲や麦などの実の先に、トゲトゲしたノギのある穀物を 指す言葉です。『禾』+『千』ではその字義はといえば、穀物の実が多数重 なるという意味を持っていたと考えられます。つまり、穀物の実が実る周期 を表す言葉として生まれたものだと考えられます。 ◇「ネン」という読みは? 「ネン」という音は、呉音です。この『年』は、粘々するという捏(ネツ、 『ねばる』の意)・涅(ネツ、『ねばる』の意)と同系の語(学研漢和大辞 典による)とされています。『ネン』という読みは、この粘つくという意味 の同系文字と同じ読みになったということです。 「ねばる」という意味の文字と同系の語と書いたとおり、『年』自体にも粘 つくという意味が元々はあったようで、穀物の実が熟して粘つくようになる という意味を持っていたようです。 それが、穀物が熟す周期、つまり収穫時期の周期を表す文字となりました。 この収穫時期の周期こそ、一太陽年の周期でしたから、『年』は一太陽年の 長さを表す文字となったのです。 こうした『年』の意味を考えると、幸いだったのは漢字が生まれた場所が、 日本の大部分と同じ、穀物の『一期作地帯』だったことでしょう。 もし、もっと南の『二期作地帯』で漢字が生まれたら、『年』が果たして一 太陽年を表す言葉になっていたかどうか。 まあ、そうなった時には一太陽年を表す漢字として別の漢字が生まれていた だけだと思いますけれど。 本日は、暦のこぼれ話は、暦の話には欠かせない『年』という漢字について でした。
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