日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■寒中と近日点通過 暦の上で一年で一番寒い時期は、「寒中(かんちゅう)」とか「寒(かん)」 と呼ばれます。この時期は何時かというと、二十四節気の小寒から大寒の期 間。今年(2009)のは暦で言えば、1/5~2/3の間が寒中と言うことになります。 明日、1/5 は寒中に入る日ですから、「寒の入り」と呼ばれます。 ◇寒中の頃 寒中は小寒と大寒の期間です。二十四節気にはこの小寒と大寒のように「小 と大」の組み合わせとなるものが他にもあります。小暑と大暑、小雪と大雪 がそれ。この小、大は程度を表しています。「小」はその時期に入ったこと、 いわば序章。そして極まるのが「大」。 小寒は、さあこれから寒い期間に入り、その後には寒さが極まる大寒が控え ているという目印です。 ◇寒中見舞い 正月には年賀状をだす慣習が広く広がっていますが、寒の入りを迎えた頃か らは新年の挨拶状である年賀状から、「寒中見舞い」にその姿を変えます。 寒中見舞いといえば、これと対をなす存在が暑中見舞い。こちらは夏の暑中 (小暑~大暑の間、今年は7/7~8/6)の時期に出す挨拶状。 暑中見舞いはよく見かける挨拶状ですが、それに比べて寒中見舞いはあまり 見る機会がありません。やはり、その直前に大量に行き交う年賀状がありま すから、年賀状の直後にまた寒中の挨拶状も無いと言うことでしょうか。 ◇寒の行事 寒の時期には、この厳しい寒さをはね返し、心身を鍛練しようと言う行事が あります。 寒中水泳、寒中登山、寒稽古、耐寒訓練 などがそれです。 寒の時期にこうした行事があるのは単に寒い時期だからでしょうか? 勝手な想像ではあるのですが、何かが極まるという特別な瞬間には、特別な 力があると考えたのではないでしょうか。 寒さが一年で一番厳しい時期、寒さが極まるには、なにか特別な力があって、 そうした力を取り入れようと言う意味があるように思えるのですが。 如何でしょうか? (今のところ単なる想像です)。 ◇寒の雨 諺に 寒の中(うち)の雨は親の乳房 寒雨(かんあめ)降ったら麦俵造っておけ 寒九(かんく)の雨 などというものがあります。 いずれも寒の時期の雨を豊作の予兆だとする言葉です。 だいたい、寒の時期は空気が乾燥しており、雨が降ることが少ないのですが この時期に降る雨は万物を潤し生気を与える雨だと考えられて有り難がられ ました。 「寒九」は寒の入りから九日目の日のことで、この日に雨が降れば田植え時 にも十分な雨がえられて豊作を約束されると考えられました。 そう言えば、冬は植物の生長の準備期間であり、この期間に植物は根を伸ば して春の芽吹きを待つ時期で、この時期にどれだけ根が伸ばせたかで、その 後の成長の度合いが左右される季節だと考えられました。その冬の極みの時 期である寒に降る雨は、根を伸ばしつつある植物にとっては将に恵みの雨。 恵みの雨でしっかりと根を伸ばせれば、その後の植物の生育は約束されたよ うなものだと考えたのではないでしょうか。 ◇近日点通過 今年の寒の入りの 1/5はまた地球が一年で一番太陽に近づく近日点(きんじ つてん)通過の日でもあります。 この日の地球と太陽の距離はおよそ1億4710万km。平均の距離に比べておよ そ 250万kmも太陽に近い場所にあります。 250万kmといってもピンと来ませ んが、地球と月の距離を基準として考えれば、それの 6.5倍もの距離です。 そう考えると、「大分近いな」という気になりませんか? 尤も、地球と太陽との平均距離はおよそ 1億4960万kmですから、それから考 えれば、わずかに 1.7%近づくだけですけれど。 なんだ「たった 1.7%か」と言わないでください。それでも地球全体に降り 注ぐ太陽の光のエネルギーは、平均距離にある場合に比べると約 3.4%多く なるはずですから。 つまり、日本では一年で一番寒さの厳しい時期に入るこの日が地球にとって は一年で一番暖かい日なんです。 「ああ、やっぱりそうか。 どおりで暖かいはずだ。」 とは正直言えませんけれど、 3.4%でも無いよりはまし。 普段よりちょっとだけ近くて大きく見えるはずの太陽を見上げて、太陽の恵 みに感謝することにしましょう。
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