日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■黄砂の季節 その昔、私がまだ子供だった頃、 本日は黄砂が観測されました というニュースを夕方のテレビで見ました。 私は東北地方出身です。東北では滅多に黄砂が見られなかったので、わざわ ざニュースとして報道されたのだと思います。 確かにその日は晴れていて雲一つ無い天気だったのに、太陽が白というか薄 黄色というのか、とにかく力無い。直接見上げてもさほど眩しくないので、 どうしたのかなと不思議に思っていましたから、 ああ、あれを「黄砂」というのだ と、黄砂という言葉と気象現象をその日に同時に知りました。 ◇黄砂の故郷 黄砂は中国内陸部で舞い上がった細かな砂塵が海を渡って日本にまで届き、 その砂塵が空を覆う現象です。 その故郷となる場所は、タクラマカン砂漠、ゴビ砂漠および黄土高原と呼ば れる中国中央部の乾燥地帯だとされています。 この乾燥地帯に吹く風が砂嵐を巻き起こし、これによって巻き上がられた砂 塵のうち、細かな物がさらに日中に起こる上昇気流によって2~3km以上の高 さまでその高度を上げると、強い偏西風に載って遠方まで運ばれるようにな り、日本にまで届きます。 元となる砂嵐の発生は春が他の季節に比べてずっと多いため、日本が黄砂の 影響を受けるのは春が多いのですが、他の季節には全くないというわけでは ありません。 ◇日本での黄砂 黄砂の発生する場所との位置関係および、距離から日本では九州や関西地方 が黄砂の影響を受けやすい地域といえます。関東や東北、北海道で観測され ることは以前は希でした。東北地方に生まれた私が「黄砂」を知らなかった のも無理ないことだったのです。 ただ、最近では関東や東北など、かつては黄砂が希れにしか見られなかった 地域でも、徐々にこれが見られる日数が増えてきているそうです。 これには、中国内陸部で進む砂漠化や偏西風の経路の変化などが関係してい るものと考えられています。 ◇そして今 現在私の住んでいるところは近畿地方、紀伊半島南部です。 黄砂は関西から九州地方で特に多く見られる春先の気象現象ですから、現在 「関西」に分類される地域に住む私にとって、黄砂は毎年の恒例行事、春の 風物詩となっています。 今年に入って黄砂と思われる現象はすでに何度か目にしました。 そして昨日(2009/03/16)も。 昨日は良く晴れていて、天気商売ともいえる仕事をしている私にとっては大 変ありがたい天気。 順調に仕事を続けていたのですが、仕事を始めてから3時間ほどすると、雲 は無いのに空が青から白、薄黄色(?)とその色を変えていきました。 黄砂です。おそらくそれも今年一番の。 「天気商売」である私の仕事は、晴れているにもかかわらず正午頃には続け られないほどになってしまいました。 外に出て見ると太陽が出ているにもかかわらず、自分の影さえ薄ぼんやりと してよく見えない程になっていました。 黄砂でぼんやりした空も春の朧な空といえばいえなくもありませんが、近頃 の黄砂は単なる砂塵ではなくて、中国工業地帯から出た煤塵などを載せる舟 の役割も果たしているそうです。こうした「新しい黄砂」は花粉症などのア レルギー症の人たちにとっては新たなアレルゲンともなるそうですから、黄 砂が悩みの種にもなってしまうという方もいらっしゃることでしょう。 大半が花粉症に罹っているかのような現在の日本においては、黄砂の空を 春だなー なんてのんびり眺めているわけにはいかないですね。
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