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■暦の上の梅雨明け 今週の初めには、全国的に梅雨が明けました。 梅雨入りすることを「入梅」といいますが、「入」があれば「出」があって 当然。梅雨入りを示す入梅という言葉があればこれと対になって梅雨明けを 表す「出梅」があってもよさそうです。 【出梅】(しゅつばい) 梅雨の終る日。つゆあがり。⇔入梅。 《広辞苑・第六版》 入梅に比べて、使われることの少ない言葉ではありますが、やはり「出梅」 はありましたね。 ◇暦と入梅・出梅 暦には一年の四季の巡り、気候の変化を表すという役割があります。現在の ように 「○月×日に△地方は梅雨明けした模様」 のように梅雨明けの時期を発表してくれる気象庁などなかった時代には、こ の気候の変化を表すという暦の役割は今よりずっと重要なものでした。 入梅や出梅は暦が日本に伝来した時代には、暦の上には存在しなかったので すが、暦には生活に密着して「あると便利」なものが次第に書き込まれるよ うなります(一方で不要になって書き込まれなくなるものもあります)。入 梅や出梅は、あると便利なものとして、暦に追加されたものです。 二十四節気のように暦が日本に伝来する以前から暦に書き込まれていたもの に対して、入梅や出梅のように日本に伝来して以後、日本で追加されたもの (暦注はのぞく)を、ひとまとめに「雑節」と呼びますので、入梅や出梅は、 暦の世界ではこの雑節の一種と分類されます。 ◇出梅、日付今昔 出梅は現在は気象庁の梅雨明け発表の日付がそれに当たるものとなっていま すが、昔から気象庁があったわけではありませんから、それ以前は地方地方 に伝えられてきた天気俚諺(てんきりげん)、あるいは暦に書かれた出梅の 日付がその目安となってきました。 暦の上の「出梅」がどのように決められるのかというと、 昔の出梅・・・小暑の後の最初の壬(みずのえ)の日・・・2011/07/16 最後の日付は、昔の出梅の定義で求めた今年の「暦の上の出梅」の日付です。 さて昔の暦の上の出梅の定義(と日付)を示しましたが、では現在の定義は どうなっているのかというと・・・どうも明確な定義は無いようです。 現在でも暦の上の入梅は「太陽の視黄経が80度となる日」という定義があり ます。入梅があって出梅が無いとは片手落ちの感がありますね。 ちなみに、現在の入梅の定義は昔の定義であった「芒種以後の最初の壬の日」 の日付を平均して、その平均に近い日を太陽黄経で定義し直したようなもの。 だとしたら、出梅だってこの手で定義出来そうです。ではやってみましょう とやると 今の出梅・・・太陽の視黄経が110度となる日 あたりが、それらしい今風の定義となりそうです。 この定義で今年の暦の上の「出梅」を計算してみると、2011/07/13がその日 となります(念のため、この定義は私が勝手に考えたものですので注意)。 普段の年だと、ちょっと早すぎるかなとも思えるのですが、梅雨明けの早か った今年については、暦の上の出梅より、気象庁発表の梅雨明けの日付の方 が、ちょっと早い結果になりました。 今日は暦の上の出梅。気象庁発表でもすでに出梅した日本列島。 暦の上でも実際の気候でも、夏本番を迎えることになりました。
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