日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■傘の日 日本の多くの地域が梅雨入りしたようです。 窓の外に目をやると、雨は降っておりませんがいつ降り出してもおかしくな い空模様。きっと昼過ぎには降り出すことでしょうね。 これからほぼ一月の間は、雨の季節です。 ◇明日は「傘の日」 明日(6/11)はそんな雨の季節に相応しく「傘の日」となっています。 記念日制定の経緯は この季節の必需品である傘の販売促進を願い、傘メーカーの団体、日 本洋傘振興協議会が入梅の頃に合わせて1989年(平成元年)に制定。 と、よくある業界団体の販売促進のためのもの。 何か特別な意味があるのではと期待すると肩すかしを食らってしまいますね。 まあ、仕方がないといえば仕方がないことですが。 ◇日本は傘のよく売れる国? 「業界団体の販売促進目的か」と肩すかしを食らってしまった傘の日でした が、『季節と暮らす 365日』(日本気象協会編)を読んでおりますと、 「日本では年間 1億本以上の傘が買われます」 と書かれていました。年間 1億本というと、日本人は平均して年に1人1本の 割合で傘を買うということになりそうです。 自分はどうかと、最近の状況を思い出してみると、この 1年の間に確かに 1 本の傘を買っています。 同書によれば、日本で傘がよく売れるのには日本の雨の降り方が関わってい るようです。 ロンドンは東京より雨の日数は多いが、その雨は細かな霧雨であることが多 く、傘がなくとも歩けるので傘の需要が少ない。 また圧倒的に雨量が多い熱帯で降る雨は、傘があっても役に立たない程強い 雨なので、これまた傘の需要が少ない。 傘があれば濡れなくて済むほどの雨が3~4日に一度降る日本なので、傘を使 う機会が多いのだとか。 性質も量も程々の日本の雨が、傘の需要を支えているわけなんですね。 最近は雨の日には、コンビニエンスストアなどで安価なビニール傘が販売さ れるようになっており、傘を忘れて出かけてしまった場合などは、こうした 傘を購入するという人も増えたと思います。 こうした安価な傘まで含めると「年に 1億本」は過少な値かも知れません。 ◇尾鷲傘(おわせがさ) かわうその家のある和歌山県の那智勝浦から車で 1時間半程の場所に尾鷲と いう町があります(三重県尾鷲市)。 尾鷲は年間降水量が4000mmにも達するような雨の多い町。 弁当忘れても傘を忘れるな という諺が尾鷲にはあるとか。 こんな雨の多い尾鷲には「尾鷲傘」と呼ばれる骨の数の多い(12本)の丈夫 な傘があります。 尾鷲のような雨の多いところでは、華奢な傘ではすぐ壊れてしまうというこ とで、尾鷲市にある河合屋が昭和30年代から製造販売をして広がったものだ そうです。 (「河合屋」のHP http://www.ztv.ne.jp/q8wvduxc/index.html ) 我が家にも一本、その尾鷲傘があります。私のではなく、家内の傘ですが。 最初にその傘を見たとき(十数年前)には、 この傘の骨、異様に骨が多い と驚きました。 最近は尾鷲傘以外にも骨の多い傘が現れてきましたが、あれは骨が多いほど 丸く見えるというデザイン重視の傘? 尾鷲傘と同じように丈夫な傘のかな??? 近頃は日本の気候が熱帯化して雨が強くなってきているなんて云う話を聞く ようになりました。 これからの雨の季節、今までより強くなってきたという日本の雨に、尾鷲傘 のような丈夫な傘が活躍するようになるかも知れませんね。
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