日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■モンシロチョウの季節 近頃、道を歩いていると、菜の花の黄色が目に飛び込んでくる機会が増えま した。菜の花が咲くのとそれと軌を一にするかのように姿を現すのがモンシ ロチョウ。 私は田舎育ちでしたから、小学校の行き帰りの道の両側には畑や田んぼが広 がっていました。そんな畑の中にはいつも緑色の野菜が育っているものでし たが、春の一時は緑ではなくて「黄色」に変わる畑がありました。アブラナ の畑です。 アブラナの畑は、春の一時はアブラナの畑ではなくて「菜の花畑」とその名 を変えます。アブラナの茎や葉の緑は相変わらずあるはずですが、目につく のはその緑を覆い尽くすように咲く黄色の花だからでしょう。 そんな菜の花畑が出現すると、一面黄色くなった畑の上を白い蝶々があっち へヒラヒラ、こっちへフラフラと舞い飛びます。 モンシロチョウは菜の花畑だけにいるわけではないのですが、一面が黄色に 染まった菜の花畑の中に紅一点ならぬ白一点(数点かな?)となるモンシロ チョウの印象が強いために、菜の花とモンシロチョウがセットになっている ように思えるのでしょうか。 ◇モンシロチョウはアブラナと一緒に モンシロチョウの幼虫である青虫の好物はアブラナ。他にキャベツやブロッ コリーなども青虫の好物。どれも「アブラナ科」に分類される植物です。モ ンシロチョウは偶然に菜の花畑の上を飛んでいるわけではなくて、生まれも 育ちもアブラナと一緒だということでした。 でも、そうだとすると大昔の日本にはモンシロチョウはいなかったのかな? なぜなら、アブラナは海を渡って日本にやって来た野菜だと云われているか らです。ウィキペディアでモンシロチョウの項目を見ると、モンシロチョウ は同じくアブラナ科の植物であるダイコンが奈良時代に渡来した時に、一緒 に海を渡ってやって来た昆虫のようです。 モンシロチョウは生まれも育ちも、そしてその歴史もアブラナ(及びアブラ ナの仲間の植物)と一緒ということなんですね。 今、私が暮らしている東京の街中では一面の菜の花畑という景色を見ること はありませんが、花壇の中に、あるいは道路の脇の草の間に黄色の菜の花を 見ることが出来ます。 あの黄色の菜の花の間にも、その花を咲かせているアブラナとともに生まれ 育ったモンシロチョウが、ヒラヒラとフラフラと舞っているのでしょうか。 何はともあれ、菜の花の開花とともに、モンシロチョウの季節が始まりまし た。モンシロチョウの季節はこれから秋まで。その間にモンシロチョウは卵 から幼虫、さなぎ、そして成虫というサイクルを4~5回繰り返し、さなぎの 状態で冬を越して次のモンシロチョウの季節を待つそうです。 ちなみに暦の上にも七十二候として「菜虫蝶となる」(啓蟄の末候、3/16~ 3/20)という言葉があります。 暦の上でも今は、モンシロチョウの季節の始まりの時期ということでした。
日刊☆こよみのページ スクラップブック