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■三大厄日 暦の上では、荒天(嵐)に注意する日というのがいくつかあります。特に秋 の台風シーズンには、こうした嵐に注意する日が三つ集中し、これをまとめ て「三大厄日(さんだいやくび)」と云いました。 その三つとは、 二百十日 二百二十日 八朔(旧暦の八月一日のこと) です。この中で最も有名なのが二百十日。それに続いて二百二十日、そして 旧暦が縁遠くなってしまって影が薄らいでいる八朔というのが、現在の認知 の度合いの順番でしょうか。 八朔は旧暦の八月一日と、旧暦の暦日によって定まりますが、他の二日は立 春から数えた日数によってあらわされます。そして本日は、立春から数えて 220日目ということで、「二百二十日」にあたります。 今は、天気予報の精度が上がってきていますから、暦の上の厄日などに頼ら ずとも、天気予報を見ていれば台風の動きはわかりますから、三大厄日の役 割は、大分小さくなってきているのです。 ◇立春からの日数と日付との違い 既に書いた通り、二百十日、二百二十日は立春から数えた日数を表していま す。立春は二十四節気の日付で、太陽の位置を表していますから、これから 日数を数えて決めた二百十日、二百二十日もほぼ間接的ですが太陽の位置で 決められていると云うことが出来ます。太陽の位置で決められているという ことは、太陽暦の日付と親和性が高いとも云えます。試しに、近年 5年分の 二百十日と二百二十日(とおまけで八朔も)を、太陽暦である新暦の日付で 示すと 2016年 8/31,9/10 (9/01) 2017年 9/01,9/11 (9/20) 2018年 9/01,9/11 (9/10) 2019年 9/01,9/11 (8/30) 2020年 8/31,9/10 (9/17) となります。()はおまけで書いた、八朔の日付け。 ご覧のように、()の八朔の日付けはだいぶ前後しますが、二百十日、二百二 十日の日付の方はというと、ほとんど変化しません。こんなに変化しなかっ たら、わざわざ二百十日や二十日を暦に書く意味、ないのじゃないかな? ◇旧暦時代はわかりにくかった、二百十日・二百二十日 現在私たちが使っている新暦は太陽暦の一種です。そして太陽の位置でその 日が決まる二十四節気も、原理は太陽暦と同じようなもの。そのため、二十 四節気の一つである立春を基準にした二百十日や二百二十日の日付けは、新 暦では年が違ってもほとんど変化しないのです。 ですが、旧暦の八月一日である八朔の日は新暦の日付けでは、年ごとに大分 異なるのと同じで、新暦では日付けがほとんど変化しない二百十日、二百二 十日の方は、旧暦時代は毎年日付けが変わってわかりにくかったことから、 暦に書きこまれたというわけです。 2016~2020年の二百十日と二百二十日の日付けを、今度は旧暦の日付けで表 してみるとしたのようになります。 2016年 8/31(七月二十九日),9/10(八月十日) 2017年 9/01(七月十一日) ,9/11(七月二十一日) 2018年 9/01(七月二十二日),9/11(八月二日) 2019年 9/01(八月三日) ,9/11(八月十三日) 2020年 8/31(七月十三日) ,9/10(七月二十三日) 今度の()内は、旧暦の日付けです。なるほどこれでは、暦に書いてくれで もしないと判らないですね。その点、「八朔」は旧暦ではいつも八月一日な ので、こちらは逆に旧暦なら、書かなくてもわかったでしょう。 まあ、天気予報の精度が今くらいまで向上したら、今さら暦の上の三大厄日 の日付けに頼らなくても、台風の接近を事前に知ることが出来るようになり ましたから、三大厄日の役割自体が不要となって、忘れ去られてゆくことに なりそうですが。 みんなに忘れられても、こよみのページには書いてあげるからね、三大厄日 のみんな! ということで、二百二十日の日の三大厄日の話でございました。
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