日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)

■大潮の時期
 本日は、こよみのページに寄せられるよくある質問の中から一つ、「大潮の
 時期」について採り上げてみます。

◇大潮(おおしお)ってなに?
 まず最初に「そもそも大潮ってなに?」というところから始めましょう。
 ご存じのとおり、海には潮の引く干潮と、潮の満ちる満潮を周期的繰り返し
 ます(これを「潮汐(ちょうせき)」といいます)。

 海の干潮と満潮の海面の高さの差の大きさは一定ではなく、ほぼ半月の周期
 で差が大きくなったり小さくなったりします。この干潮と満潮の差が大きい
 時期は大潮(おおしお)、小さい時期は小潮(こしお)と呼ばれます。

 この海の干満は、もっぱら月と太陽が地球上の物体に及ぼす潮汐力によって
 生み出されています。実際には他にも気圧の変化や風、あるいは海流などの
 影響も受けますが、これはあくまでも例外的なもので、潮汐といえば、月と
 太陽の潮汐力によって起こると考えても大きな間違いはありません(月と太
 陽の潮汐力で生み出される潮汐は「天文潮」と総称されます)。

 さて、月と太陽の潮汐力といいましたが、それぞれの力の大きさは同じでは
 なく、大きさの比率で見ると

  月:太陽 ≒ 1 : 0.5

 となります。月は太陽よりずっと小さいですけれど、代わりに地球にずっと
 近い位置にある天体なので、潮汐力として見ると太陽の約2倍の力を地球に及
 ぼします。

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 ※ちょっと補足
 潮汐力の大きさは、潮汐力を及ぼす天体の質量に比例し天体までの距離の3
 乗に反比例します。これを実際の太陽と月に当てはめて考えると、太陽の質
 量は月の質量の約2700万倍ですが、地球と太陽の距離は地球と月の距離の約
 400倍ですから
  27,000,000 ÷ (400 × 400 × 400) ≒ 0.422
 となり、おおざっぱに言えば前述の 1:0.5 という比率になります。
 以上、ちょっと補足でした。
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 さて、月と太陽からの潮汐力は地球から見た月と太陽が一直線に並ぶ時期に
 は、月と太陽からの力が合算される形となり

  月の力+太陽の力 = 1 + 0.5 = 1.5

 と普段より大きくなります。この時期が「大潮」です。
 月と太陽が地球から見て一直線に並ぶ時期というと、新月と満月の時期とい
 うことになりますので昔から新月と満月の時期は「大潮」と考えられてきた
 のは、このためです。

 これに対して、地球から見た月と太陽の角度が90°になる時期は、月と太陽
 の潮汐力の作用する向きも90°ずれて、分散し、潮汐力が小さくなります。
 この状態が「小潮」で、月の満ち欠けでいえば、上弦と下弦の半月の時期が
 これにあたります。

◇大潮の時期はぴったり、新月と満月の時期?
 大潮の時期は新月と満月の時期といいましたが、現実の海の干満の様子を調
 べて得た大潮の時期と新月や満月の時期は完全には一致しません。

 海の干満から見た大潮の時期は海水の粘性やその質量、海底との摩擦など様
 々な影響を受けるため、新月や満月の瞬間から大体1~3日遅れて最大になり
 ます。

 もちろん、普段使う「大潮」という言葉は「海の干満の差の大きな時期」で
 すので、ある一瞬だけを指しているわけではなく、何日かの幅を持つものと
 考えるのが一般的です。ですから「大潮」といった場合には、新月、満月の
 後1~3日後を中心とした数日の間を指していると考えてください。

 この考え方からすると、本日2019/10/24は新月の4日前ですから、大潮の時
 期は、次の新月の日、10/28の近辺の

  2019/10/28~30 頃

 ということになります。

◇大潮、小潮の時期は世界共通?
 既に説明したとおり、大潮や小潮は新月、満月、半月といった月の満ち欠け
 の状態と密接に関係しています。そして月の満ち欠けは世界中共通ですから
 大潮、小潮の時期も世界共通と考えることが出来ます。

 もちろん前述したとおり、潮汐には海底との摩擦なども影響するので、地形
 が違えば違いも生まれますので、多少地域性もありますが、その差はほんの
 わずかですので、基本的には

  「大潮、小潮の時期は世界共通」

 ということができます。

 本日は、一見すると暦とは無関係な海の干満の話でしたが、この干満の元と
 なる潮汐力を生み出すものが月と太陽という、暦とは切っても切れない天体
 ですので、間接的な「暦の話」として採り上げてみました。

 こうしてみると「暦」っていろいろなものに関係しているんだな・・・と、
 皆さんも感じていただく切っ掛けになれば嬉しいです。

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