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■「天長節祝日」の話 本日10/31。ハロウィンの日です。 でも、本日の暦のこぼれ話はハロウィンの話じゃありません。 本日10/31は大正時代は「天長節祝日」という変わった名前の祝日でもあり ましたので、今回はこちらの話を採り上げます。 天皇陛下の誕生日が祝日であるのは明治、大正の時代も同じですが、現在の ように「天皇誕生日」などという面白みの無い名前ではなく「天長節」とい う名称でした。天長節の「天長」は、老子の第七章の 天は長く地は久し(天長地久)。 天地の能(よ)く長くかつ久しき所以のものは、 その自ら生ぜざるを以てなり。 からとられたそうです。 天は永遠であり地はいつまでも存在する。天が永遠で地がいつでも存在する のは、自身の命を育てようとしないからであると言った意味でしょう。 天長節は天子とも呼ばれる天皇を天に例え、天が永遠であるように天皇の治 世が末永く続くように祝い寿ぐ日でした。 明治以降は一世一元でしたから、天皇の治世が末永く続くということは同時 に天皇陛下の長寿を祝うことにもなります。 ちなみに、もととなった老子の「天長地久」から、天皇陛下の誕生日を天長 節と呼んだように、皇后陛下の誕生日は地久節と呼ばれました。 ※注意 平成の時代は、特例法によって生前退位という形で終わり、禅譲のような形 式で令和にかわりました。 このようなわけで、明治、大正、昭和と天皇陛下がおかわりになれば日付が かわります。明治~昭和の時代の天長節の日付は以下のとおりです。 11/03 (明治時代) 8/31 (大正時代) 4/29 (昭和時代) 明治天皇の誕生日は、嘉永 5(1852)年 9月22日。ですが、11月 3日はこの日 付を新暦に直したものです。 ついでに、「天皇誕生日」と名を変えてから(昭和23年の「国民の祝日に関 する法律」施行から)の日付も書くと 4/29 (昭和24年~63年) 12/23 (平成元年~30年) 2/23 (令和 2年~) となります(今年、2019年は「天皇誕生日」という名の祝日が存在しない年 となってしまいました)。 ◇天長節祝日? 大正時代には天皇誕生日は「天長節」という祝日でしたが、本日は大正時代 にのみ存在した、天長節によく似たもう一つの祝日でした。それは 天長節祝日 という祝日です。天長節祝日の日付けは 10/31。つまり、今日の日付です。 どちらが大正天皇の誕生日かと言えばもちろん天長節の方。 では天長節祝日は何かというと、病弱でいらした大正天皇が残暑の厳しい時 期に天長節の各種式典を行うことを厭われたため、式典は寒暑の厳しくない 時期に行うこととし、この日を「天長節祝日」としたのだそうです。 この「天長節祝日」というちょっと変わった祝日は残念(?)ながら、大正 時代一代だけのものでした。今上天皇の誕生日は2/23。立春は過ぎています が、まだまだ余寒の残る時期。こっちももっと気候の良い時期にもう 1日、 「天皇誕生日祝日」なんて祝日作ってくれてもいいのに・・・。 大正時代には、「天長節祝日」という変わった名前の祝日のあった10/31の 暦のこぼれ話でした。
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