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■二十四節気の長さと暦の上の季節の長さ
 現在の二十四節気は太陽が一年をかけて天球を巡る「黄道」と呼ばれる道筋
 を角度で24等分(15°ずつに分割)し、その区切りの角度を太陽の中心が通
 過する瞬間を

  「節入の瞬間」

 として区切り、節入りの瞬間から次の節入りの瞬間の直前までの期間を、そ
 の二十四節気の期間(これを「一気」といいます)とします。

 ご存じの通り、地球の公転軌道は楕円軌道で、地球が太陽に近い位置にある
 時は太陽の動きは速く見え、逆に地球が太陽から遠く離れた位置にある時に
 は太陽の動きは遅く見えますから、地球が太陽に近い位置にあるか遠い位置
 にあるのかによって、二十四節気の「一気」の長さは変化します。

 現在、地球が太陽に最も近づく近日点通過の瞬間は一月の上旬(2020年の場
 合は、近日点通過は1/5です(日本時で))にありますから、この時期にある
 二十四節気の一気は他の季節のそれよりも短くなります。実際の例で見ると

  二十四節気と一気の長さ(節入日)
  冬至 14.75日 (2019/12/22)
  小寒 14.71日 (2020/ 1/ 6)
  大寒 14.75日 (2020/ 1/20)

 反対に地球が太陽から最も遠ざかる遠日点通過の時期である7月上旬前後の
 二十四節気の一気の長さも示すと

  二十四節気と一気の長さ(節入日)
  夏至 15.71日 (2020/ 6/21)
  小暑 15.75日 (2020/ 7/ 7)
  大暑 15.67日 (2020/ 7/22)

 最も短い小寒と最も長い小暑の長さの差は1日強。
 「なんだ、そんなものか」と考えるか「結構あるんだな」と考えるかは皆さ
 んの判断にお任せいたします。

 実際の暦の上の二十四節気は一気の長さは節入の瞬間を含む日から次の節入
 の瞬間を含む日の前日までとなって、必ず整数となるので、一気の長さに端
 数はありませんが、今回は比較のため節入の瞬間を少数まで求めています。

◇暦の上の季節の長さ
 最短と最長で1日程度の差しかない二十四節気の一気の長さですが、これが
 積み重なれば、それなりの長さの差が生じます。暦の上で「季節の長さ」を
 考える方法はいくつかありますが、比較的広く用いられる

  春 ・・・ 立春から立夏の前日まで

 といった方式で区切ると

  春の長さは立春・雨水・啓蟄・春分・清明・穀雨の各気の合計

 と考えられます。
 この方式で四季の長さを求めると次のようになります。

  春:90.67日  夏:94.00日  秋:91.92日  冬:88.67日
 (※春夏秋冬は、北半球での場合です。
   南半球にお住まいのの皆さん、あしからず)

 私のような寒がりにはうれしい限り。冬は夏より5日以上も短いじゃありま
 せんか。なんてうれしい。
 ていっても、だから暖かくなるって訳じゃありませんけど、気は心とも言い
 ますから、ちょっぴり「いい気分」に浸ることにしましょう。

◇ぼやき ・・・ 「一気」の長さの長短と暦
 すでに見てきたとおり、二十四節気のそれぞれの「一気」の長さには違いが
 あるのですが、こうした違いは二十四節気を太陽の黄道位置によって決定す
 る「定気法」と呼ばれる方式を採用した1844年からのことです。

 それ以前の二十四節気は節入の瞬間を冬至~次の冬至の間の日数を日数で等
 間隔に分割して決定する「恒気法」を用いていた時代は、一気の長さ(とそ
 の積算である式の長さ)は一定でした。

 現在私たちが使用している暦(新暦。グレゴリオ暦。太陽暦の一種)の作暦
 には二十四節気は関係ないのですが、いわゆる旧暦(太陰太陽暦の一種)の
 作暦には二十四節気は暦月名を定めるためになくてはならないものであるた
 め、二十四節気の日付を定気法で求めるのか恒気法で求めるかによって、出
 来上がる暦の月日も影響を受けてしまいます。

 1844年の天保暦への改暦において、二十四節気の計算方式を恒気法から定気
 法に変更しなかったら時々話題になる旧暦の2033年問題なんて、起こらなか
 ったのに。
 ぼやいてみても仕方ないことですけれどね。

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