日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■「三日月」は春は寝ていて秋は立っている? 今日は旧暦の三月三日(2020/3/26)。 ということは、お月様は「三日月」。 西の空には宵の明星、金星が明るく輝いていますから、今日、明日、明後日 辺りは日暮れ後の空に、金星と月の並ぶ姿を楽しめることでしょう。 もし今夜辺り、月を眺めることが出来たなら、その欠け際の傾きの具合に注 意してみてください。欠け際の端と端を結んだ線が地平線と平行に近い角度 に見ることと思います。 三日月を「お椀」に見立てると、ちょうど上を向いていて水でもみそ汁でも たっぷり入りそうな姿です。「お椀」では気分がでないという方には、ゴン ドラを思い浮かべてください。 ◇春は寝ていて、秋は立っている三日月 春の彼岸の頃に見える三日月は、月が沈む頃には欠け際を結んだ線がほぼ水 平に近い状態で、まるで三日月が寝転がっているような姿になります。 いつも三日月はこんなに怠けた姿かといえばそうではありません。 真面目に立っていることもあります。その時期は秋。秋の彼岸の頃です。 春の彼岸の頃の三日月は寝っ転がっていて、秋の彼岸の頃の三日月は立って いるのです。彼岸の頃というより、春分の日と秋分の日の頃というべきかも しれませんが。 では間の夏や冬の月はどうかといえば、この春と秋の状態のちょうど中間く らいです。水に浮かんだゴンドラのような三日月を眺めたければ春の時期を 狙いましょう。 ◇有明の月の傾き 三日月の反対に明け方に見える細い有明の月。二十六夜月とか二十七夜月と 呼ばれる頃ですが、此方の傾きはどうなっているかというと、 有明の月は、春には立っていて、秋には寝ころんでいる と三日月とは逆になっています。 明け方に見事なゴンドラのような細い月がみたいなら、秋がいいということ です。 ◇季節によって三日月の傾きが変わるのはなぜ? この原因は主に太陽の通り道(月もほぼ太陽と同じ道を通ります)である黄 道と地球の赤道との傾きが原因です。 月の欠け際を結んだ線はほぼ黄道と直角になりますから、月のある場所の黄 道が地平線とどのような角度で交差しているかを計算すれば、月の傾きのお よその状態が計算出来ます。 昔は三日月や二十六夜月(または二十七夜月)を拝む風習がありましたので、 こうした月の傾きまで求めてその傾きを示した暦まで作られていたことがあ ります(仙台暦など)。 今と違って、月に対する関心が強かったから三日月の傾きのちがいまで気に なったのでしょうか。 今は、なかなかそこまで気が向く人は少ないでしょうか? 月に興味のある皆さん、今月の三日月、来月の三日月、再来月の三日月と毎 月の三日月を眺めて、この傾きのちがいを実際に確かめてみてはいかが。 案外新しい月の楽しみ方になるかもしれませんよ。
日刊☆こよみのページ スクラップブック