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■二度目の四月、閏四月 今日、2020/5/23は旧暦閏(うるう)四月の始まりの日です。 私たちが日常で使っている暦、新暦では閏といってもほぼ4年に1度に2/29の 1日だけですが、旧暦の閏は丸々1月。今日からその丸々1月の閏の月に入り ました。新暦では一年の月名は 一月の次は二月、二月の次は三月・・・ と月の番号が順次増加してゆくだけですが旧暦の場合は必ずしも 一月の次は二月、二月の次は三月・・・ とはならないことがあります。そうならない例が、例えば今日です。 旧暦の暦月は天体の月(お月様のこと)が新月となった日から始まり、次の 新月の日の前日までの期間です。 前回の新月は4/23で、今日5/23)がまた新月。 前回の新月から始まった旧暦月は、 旧暦四月 でした。そして今日がまた新月ですから旧暦の暦月は変わって今日から旧暦 五月となるはずなのですが、残念ながらそうはなりません。 ◇季節の動きと暦 月の満ち欠けによって暦月を区切り、その暦月12ヶ月で暦年を区切るという ことを基本としていた旧暦は、季節の巡りを表す暦としては欠点の大きな暦 でした。なぜなら、四季の巡りについて最も大きな影響を持つ太陽の巡りの 周期(太陽から見れば、地球が太陽の周りを公転する周期)である、一年を を正しく表せないからです。 月の満ち欠けの周期による月で12ヶ月を数えるとその日数はおよそ 354日程 となって、太陽の巡りである一年の日数より約11~12日少ない日数となりま す。こうした暦を数年も使い続けると、当初は夏だったはずの月が春に来て しまい、さらに使い続けると冬になり、秋になり・・・という具合に変わっ ていってしまうことになります。 これでは、暦を作って季節の動きを知り、狩猟や農耕に役立てようと言って もうまくいきません。そこで考え出されたのが、季節の動きを月の満ち欠け から間接的に知るのではなくて、直接太陽の動きから読み取ろうという二十 四節気でした。 ◇旧暦の月名と二十四節気の中気 二十四節気は月の満ち欠けとは関係なく、太陽の動きから決められます。 二十四節気の作り方は、太陽の動く周期を日数的に均等に分ける恒気法(こ うきほう)と、太陽の動く道筋に沿って角度で均等に分ける定気法(ていき ほう)という異なった方式があります。 現在は後者の角度で分ける方式、定気法が使われます。 二十四節気は文字通り24の節気ですが、一つ跳ばしで数えれば12となり、一 年十二ヶ月の12と同じになります。旧暦の暦月名は、この1つ跳ばしの節気 (これを二十四節気の「中気」といいます)を利用して名付けられるように なっています。 つい先日(5/20)に始まった小満も二十四節気の一つで、「四月中気」とも 呼ばれ、この小満が始まった日を含む暦月が四月になります。 月の満ち欠けで暦月を区切る方式は既に説明したとおり、太陽の動きやそれ から生まれる季節の動きと連動せず、少しずつずれていってしまいますから 単純に暦月の順番で名前をつけるのではなくて、太陽の動きにあわせて作ら れた二十四節気の中気にあわせて暦月の名前を決めます。 この方式で暦月名を付ければ暦月と季節の関係は大きくずれてしまうことを 防げます(ずれは最大で1ヶ月を超えない)。夏だったはずの暦月が、春に なり、冬になりという問題は発生しなくなります。 ◇そしてやっと閏月 今年の四月中気、小満は新暦の5/20でした。 そして本日、5/23は新月で新しい暦月が始まりました。 既に小満は過ぎてしまっているので今日の新月から始まる旧暦月は「四月」 ではありません。では次の中気である五月中気、夏至はいつかと見るとこれ は6/21。今日から始まる旧暦月は五月かと思ったら困ったことに五月中気で ある夏至と次の新月の日は一致(ともに6/21)しており、五月という名前は次 の暦月に付けられることになってしまいます。 そうすると、2020/5/23~6/20の暦月は名無しのごんべのような月となって しまいます。こうした名無しのごんべの月が生まれたときには、これを臨時 の月として閏月とし、前の月の名前に「閏」の文字をつけて呼びます。よっ て今日から始まる旧暦月は「閏四月」となります。 旧暦では普通の年の日数は353~355日ですが、こうした閏月が出来る年は、 その分日数が増えて、383~385日となってしまいます。ちなみに今年の場合 は 384日です。 ああ、今年は長い一年になりますね。 ちなみに、旧暦では四月~六月が夏の月ですから、今年の夏は四月・閏四月 ・五月・六月と4ヶ月もある長い夏ということになりますね。 もちろん、長い一年というのも長い夏というのも、あくまでも旧暦という暦 の上での話ですけどね。
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