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■日の長さと昼時間、可照時間、日照時間の話
 5月も間もなく終わり。
 来週には6月に入ります。
 6月といえば夏至を含む月。

 近頃、めっきり夕暮れが遅くなってきたなと感じますが、それもそのはずで
 すね。夏至まで1ヶ月もないのですから。

◇日照時間と昼時間
 夏至に向かって日が長くなってきたということで本日は日照時間と昼時間に
 ついて書いてみます。

 日照時間の話はひとまず置くとして、まずは「昼時間」という、あまり見覚
 え、聞き覚えのない言葉について説明しておきます。
 見覚えのない言葉といえば、それは当たり前。実は、この言葉は私の造語。
 Web こよみのページの「日出没計算」のページに登場する言葉です。

 よく、「日が長くなったね~」なんて話をすると思うのですが、この時に登
 場する「日の長さ」って何かなと考えると、最も解りやすいのは

  日が昇ってから日が沈むまでの時間

 だと思うのです。
 前述の日出没計算のページでは、指定された地点での日出時刻、日没時刻等
 を計算しているのですが、日出没時刻を計算しているのだから当然、日が昇
 って(日出)から日が沈む(日没)までの時間も求められます。それならつ
 いでにこれも計算して表示しておけば「何か」の役に立つんじゃないかとい
 うわけで計算しています。

 計算するのはよいのですが、ではこの時間というのは何を表しているかを端
 的に表す言葉はないかと考えましたが、よさそうなものがありません。
 先の話の流れからすれば

  日の長さ

 としてもよいかも知れませんが、「日」だけだと、夜も含んだ1日の長さと
 も取られかねないので、日が昇って日が沈むまでの間のことを「昼間」と
 いうから、その時間だということで「昼時間」でいいんじゃないかと。

 勝手な造語なので、一応日出没計算のページに付属させた解説ページには、
 「昼時間」なるものがどのように計算したものであるかは説明しているので
 変な言葉を作るなとお怒りにならないでくださいね。

  え、昼時間なんて言葉を作らなくたって「日照時間」でいいんじゃない?

 そう思う方もいらっしゃるかもしれないのですが、日照時間ではいけないの
 です。
 日照時間と言う言葉は、日照の有った時間の長さですがこの「日照」とは、
 単に日が出ていると言うものではなくて、次のように定義される気象用語で
 す。

   「日照」とは直射光の直達日射量が120W/m2以上ある状態

 つまり曇りとか雨とかの天気の影響も含めたものなので、太陽が昇っている
 時刻であっても、曇りなら「日照」とはならないわけです。

 お天気まで関係してしまうとなると、単に太陽の位置を計算して日出没を計
 算しただけでは「日照時間」が判らないということです。

  日照時間は、測ってみないと判らない

 ものなのです(天気予報が完璧で、任意の地点での雲の状況まで正確に求め
 られるようにでもならない限りね)。

◇可照時間(かしょうじかん)
 日照時間に関しては、「測ってみないと判らない」ものですが、測ってみな
 いと判らないではいろいろと不都合が有りますね。
 そこで登場するのが「可照時間」。

 こちらは、もし雲などが無ければ陽が射すだろうと言う時間の長さです。
 これなら、なんだか計算出来そうですね。では、可照時間は昼時間と同じか
 というと、残念。ほんの少しですが違います。

 ウィキペディアによると可照時間とは

 『可照時間(かしょうじかん,possible sunshine duration)とは、地球上
  において、太陽からの日照が当たりうる時間のこと。厳密には、地表の
  ある地点において、太陽の中心が地平線・水平線に達して空に昇った時
  点から、再び大洋中心が地平線・水平線に達して没したときまでの時間
  を指す。』
 (フリー百科事典『ウィキペディア』日本語版 2022.05.28
   https://ja.wikipedia.org/wiki/可照時間 より抜粋)

 というものだそうです。
 この定義のとおりであれば可照時間は計算可能です。

◇こよみのページの「日出没時刻計算」を使って可照時間を求める
 可照時間の定義は、普通の日出没の定義とちょっと違います(地平線にかか
 る部分が太陽中心か、上辺か)。またそれを観測する人の状態の想定もちょ
 っと違いますが、これは日出没時刻計算のオプションでパラメータを変更し
 て対処出来ます。

 パラメーターの変更箇所は次の 2点です。
  1.眼高 → 0.0m (デフォルト設定 3.0m)
  2.出没計算基準位置 → 中心 (デフォルト設定 上辺)

 さ、これで計算可能(厳密には大気差の取り扱いなどに違いが有ると思うの
 で、数秒から十数秒の差はあると思います。この辺はご容赦を)。

 実際にやってみると、やはりデフォルトの昼時間と、この可照時間にはちょ
 っとした違いがありました。東京での今月(2022/05)の総時間数を計算す
 ると

  可照時間 433時間58分
  昼時間  435時間48分

 なるほど、1日1日の差は3~4分ですが、塵も積もると 2時間近くの差にな
 るんですね。もし何かで、「可照時間」が必要になることが有れば、こよみ
 のページを使ってみてくださいね。

 既に書いたとおり、残念ながら日照時間は計算では求めることが出来ません
 が、昼時間と可照時間は計算可能ですので、興味があれば計算して

  暦の上での「日の長さ」

 を確かめて見るのはいかがでしょう?
 そんな暇人、いないかな??

※ついでに
 本日の記事を書くためにウィキペディアで可照時間を調べたのですが、その
 説明には「昼の時間」という説明も有り、説明の後の「外部リンク」の箇所
 に

  日出時刻・方位角計算のページ - 「昼時間」を算出できる。

 というサイトへのリンクがありました。
 へー、同じようなこと考えている人いるんだと、リンク先を見たら
 Web こよみのページの日出没計算のページでした。
 な~んだ(有り難いけど)。

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