日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)

■蚊の日
 プゥ~~~ン

 という、間の抜けたような、それでいてどこか人をイラつかせる独特の羽音
 とともに登場する小さな昆虫、それが蚊です。

 「自分は力の無い小さな存在だから、何も出来ないと言う者は
  数匹の蚊を放した部屋で一晩を過ごしてみれば、
  その言葉が間違いだと気づくだろう」

 アフリカのどこかにこんな諺があるそうです。
 昔、本で読んだ記憶を辿って書いているので、言い回しなど違っているかも
 しれませんが、「なるほど、うまいこと言うな」と感心した言葉なので意味
 は違っていないはずです。

 本当に、おっしゃる通り。あの小さな蚊が数匹どころか、一匹でもいたら、
 気になって眠れなくなってしまうものです。
 そして本日8/20はその、小さいけど大きな影響力をもった蚊を記念する日、
 「蚊の日」です。

◇蚊の日?
 小さいけれど、人を突き動かす力をもった偉大な虫、蚊ですからそれを称え
 る日があるのは当然・・・とは思えないのですが、この日は何があった記念
 日かというと、マラリアの原虫が発見されたことを記念した日です。

 この日はインド医務官を務めていたロナルド・ロス(Ronald Ross)がハマダ
 ラカの胃からマラリアの原因となる原虫を発見した日です。

 1887年(明治30年)、インド医務官を務めていたロナルド・ロス(Ronald
 Ross)博士はハマダラカの胃の中に原虫を発見し、その翌年に鳥を使った吸
 血実験によって蚊がマラリアを媒介することを証明しました。
 ロス博士はこの功績によって、1902年に第 2回ノーベル賞(生理学・医学)
 を受賞しています。

 マラリアは熱帯から亜熱帯に分布する原虫感染症で、年間3~5億人が感染し
  200万人前後の人がこの病気のために亡くなっているそうです。

◇気になるネーミング
 「蚊の日」の由来もわかりましたし、マラリアという病気との戦いがいかに
 世界にとって重要な問題かはわかりました。
 が、しかし、なぜこの日が「マラリア原虫発見の日」なんていう呼び名じゃ
 なくて「蚊の日」なのか・・・。

 「マラリア原虫発見の日」なんていうより、確かに「蚊の日」という方が、
 この日は何の日かなと興味と注意を引きつけるネーミングであることは間違
 いない気がしますが、そんな思惑があってこんな記念日の名前になったので
 しょうか。気になる謎です。

◇日本は「蚊取り」の先進国
 ハマダラカは日本にも生息しているとのことなので、日本でもマラリアが流
 行しないとは限りません。かつては、北海道でも流行したことがあるとのこ
 となので、油断は出来ないかも。

 ただ、近年は日本におけるマラリアの流行はありません(海外の旅行先で感
 染する方が毎年数百人はいるとのことです)。
 これは、日本が蚊取りの先進国だからかも。

 日本の夏と云えば「蚊」。
 そういう意味でいえば日本人と蚊との戦いの歴史は古く、その長い戦いの歴
 史の結果、今や日本は「蚊取り」の先進国です。

 昔懐かしい渦巻き型の蚊取り線香あり、一夏薬液を交換しなくてよい電気蚊
 取り装置あり、シュッと一拭きで、24時間蚊を倒すスプレー有り。香りや超
 音波で蚊を遠ざける虫除け有りと、確かに「蚊取りの先進国」の名に恥じな
 い蚊取り装置の充実ぶりです。

 あの蚊の羽音を暗闇の中で聞いたら、明かりをつけて、その羽音の主を発見
 し、打ち倒すまで眠れない。これって蚊と長い間戦い続けてきた日本人の、
 「血」ってヤツですかね。
 この日本人の血が、マラリア流行を食い止めているのかも?

 ちなみに、昔懐かしい渦巻き型の蚊取り線香ですが、あの形状は一晩燃焼し
 続けて蚊を遠ざけるための工夫。発明者は大日本除虫菊株式会社(「金鳥」
 と言った方がわかりやすい?)の創業者上山英一郎氏。その前の蚊取り線香
 は、普通の線香と同じく、真っすぐで燃焼時間は1時間ほど。燃焼時間を延
 ばす工夫に悪戦苦闘中の氏に「渦巻き型にしてみては」と提案したのは氏の
 奥様(上山ゆき)だったそうです。

◇おまけ・・・蚊の弱点
 耳寄りな情報を入手しました。
 あの憎っくき蚊にも弱点があったのです。

  気温が35℃を超えると、蚊も活動できないらしい!

 ということは、室温を35℃以上に保てば、蚊に悩まされることもなくなる。
 夏の夜も安眠間違いなし!
 あとは、気温35℃以上でも平気で活動でき、平気で眠れるようにすればよい
 だけです・・・。

◇最後はまともな情報
 ちなみに、4/25は

  世界マラリアデー(World Malaria Day)

 です。2015年までに世界からマラリアで亡くなる人をなくそうと2007年に世
 界保健機関(WHO) が制定した記念日です。
 2015年までに・・・。

 WHO のこの「当初の目標」は達成出来ず、よって現在もマラリア撲滅を目指
 して「世界マラリアデー」は現在も継続中。
 蚊取り先進国の日本の技術が、この目標実現のために役立つといいですね。

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