日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)

■13日は何曜日?
 正月の話題も種切れとなった1月の13日。
 何かないかなと思ってふと見れば

  おっと、13日の金曜日だ!

 ということで、これはいい。
 こいつぁ、正月から縁起がいいじゃないか(?)、と早速13日の金曜日に掛
 けた話を書いてみます。

◇目出度くはない13日の金曜日
 話題があって目出度い私ですが、通常はこの13日の金曜日は忌み嫌われる日
 です。なぜ嫌われるかと言えば、この日はチェーンソーをもった怖ろしい殺
 人鬼が現れるから・・・なんてことを以前、冗談で話をしたら

  それってなんですか???

 と真顔で質問されたことがあります。
 もう、映画の「13日の金曜日」シリーズを知らない世代が多くなったんです
 ね。

 もう通じなくなり始めた冗談はさておき、この13日の金曜日は、イエスが十
 字架に架けられるという受難の日だったという話(※)から、不吉な日と考
 えられるようになりました。そして今日はその、13日の金曜日です。

※13日の金曜日にイエスが十字架にかけられたというのは俗説で、史実とは
 異なるそうです。

◇13日の金曜日の出現頻度
 さて、本日の話は宗教的に云々という話ではなくて、単に暦の上から眺めた
 13日の話をしようと思います。13日は何曜日になるかという話です。

 まず最初に、本日の日付と曜日から「13日の金曜日」がどれくらいの頻度で
 出現するかを考えてみることにします。
 わざわざカレンダーを見るまでもなく、毎月13日は巡って来ます。そして金
 曜日についても、毎週巡ってきます。では、この毎月巡ってくるこの二つの
 ものが一致して13日の金曜日となるのはどれくらいの頻度でしょうか。

 現在私たちが使っている暦は、毎月の日数が固定されています。ただし2月
 は例外で、平年は28日で閏年は29日と変化が、変化と言えばこれだけですか
 ら 1/1が何曜日にあたるかを7曜分、平年と閏年の2通りに分けた計14パター
 ン調べてみれば全部判ることになります。
 ではさっそくその14パターンを調べてみましょう。

 ・平年の 1/1の曜日と13日の金曜日となる月
  (日)  1,10
  (月)  4, 7
  (火)  9,12
  (水)  6
  (木)  2, 3,11
  (金)  8
  (土)  5

 ・閏年の 1/1の曜日と13日の金曜日となる月
  (日)  1, 4, 7
  (月)  9,12
  (火)  6
  (水)  3,11
  (木)  2, 8
  (金)  5
  (土) 10

 一番13日の金曜日が多くなるパターンは平年で1/1が木曜日となるパターン
 の年で 2, 3,11月の 3つの月に13日の金曜日が出現します。閏年なら1/1が
 日曜日になる年の1,4,7月が13日の金曜日となります。

 今年は、平年で1/1が日曜日ですから14パターン最初に掲げた、1月と10月が
 13日の金曜日となるパターンとなります。それなので、今年は本日、1/13と
 10/13の2回、「13日の金曜日」となることになります。まあ、平均的な年と
 いえますかね。

 とりあえず、今日を乗り切れば、次は10月。しばらくは安泰です。
 なんて、所詮は迷信ですから多くたって、どうってことないですけどね。
 (私の場合、こうしてこのコーナーで採り上げる話題が出来たのだから、幸
 運な日ともいえるかも?)

◇13日は何曜日?
 さて、13日の金曜日が、年によってどれだけ出現するかを考えたところで、
 ふと思いました。上記の14パターンとある年の1/1が何曜日にあたるかとを
 組み合わせれば、13日が何曜日はすぐに知ることが出来ますね(そんなこと
 を調べる必要がどこにあるか、なんて言わないでください)。

 原理は簡単。例として平年で1/1が日曜日のパターンを考えます。
 これだと、先に掲げたパターン一覧によると、1月と10月の13日が金曜日と
 なることがわかります。更に付け加えれば、このパターンの年は1月と10月
 以外の13日は、金曜以外の曜日をとることになります。

 なら、ではこの1/1が日曜日となる平年パターンの、1/1の曜日だけ、日曜か
 月曜日に変更したらどんなことがわかるでしょう? 基点となる1/1の曜日
 が日曜から月曜に1日分進んだのですから

  1月と10月の13日の曜日は金曜から1日分進んだ曜日 → 土曜日となる

 ことになります。2日分進め、1/1を火曜としたら・・・と同じことを続けて
 7日分調べると、1/1の曜日に対応した1月と10月の13日の全ての曜日がわか
 ります。

 では次に、1/1が何曜日になるかを考えてみます。
 1年は平年は365日、閏年は366日です。

  365÷7 = 52 余り 1
  366÷7 = 52 余り 2

 ここで「余り」に着目すれば、ある年の1/1の曜日がわかると、翌年の1/1の
 曜日はその年が平年なら1日分、閏年なら2日分進んだ曜日となることが解り
 ます。今年(2023年)は平年で1/1が日曜日でしたから、来年の1/1は月曜日
 となるわけです。

 ちょっと、平年と閏年の関係が面倒くさいですね。何かいい手はないか?
 現在使用しているグレゴリオ暦の閏年の規則を見てみましょう。

  1.暦年が4で割り切れる年は閏年
  2.ただし1であっても、暦年が100で割り切れる年は平年
  3.ただし2であっても、暦年が400で割り切れる年は閏年

 となります。つまり、今のところ400年を超える調整はないので400年単位で
 みると、その中の暦年の平年と閏年の配置は繰り返されることになります。
 次にこの400年単位の閏年のサイクルと曜日の関係を考えてみます。

 上記の規則に従うと、400年間に閏年は97回(平年は残り303回)となります
 から、400年周期の最初の年の曜日から、次の400年周期の最初の年の曜日を
 求めれば、基点となる年の1/1の曜日から

  303日 + (97 × 2)日 = 497 日

 の497日進めた曜日が、次の400年サイクルの最初の年の1/1の曜日です。
 では、497日を7で割ったら余りは・・・0日!
 おっと、余りが0日ということは、400年サイクル考えると曜日と暦日の関係
 も、同じになると言うことです。グレゴリオ暦では、400年サイクルで考え
 れば、平年と閏年の配置も、曜日と暦日の関係も完全に一致するということ
 です。

 ならば、400年間の各年の1/1が何曜日になるか、その回数を調べ、先に示し
 た1/1の曜日と13日の曜日関係を組み合わせれば、グレゴリオ暦における、
 全ての13日の曜日の出現回数を知ることが出来るはず! なので地道に400
 年サイクル中の1/1の曜日の出現回数を調べた結果が次の数字です。

 ・1/1の曜日の回数(平年,閏年それぞれの回数)
     平年,閏年
  (日)  43, 15
  (月)  43, 13
  (火)  44, 14
  (水)  43, 14
  (木)  44, 13
  (金)  43, 15
  (土)  43, 13

 このす回数と、先の14パターンを組み合わせて400年サイクル中に現れる13
 日という日付の全ての曜日の出現回数(合計4800回)を計算した結果は、

  (日)  687
  (月)  685
  (火)  685
  (水)  687
  (木)  684
  (金)  688 (最多出現回数)
  (土)  684

 となりました。
 おお、なんと「13日の金曜日」が他の曜日を押さえて、13日の曜日出現回数
 1位の座を獲得しております!
 13日という日に関して言えば「13日の金曜日」というのは、一番ありふれた
 曜日だったのでした。

 以上、書きながらちょっとむなしくなってしまった「13日は何曜日」の話で
 した(「13日の金曜日」は、やはりよくない日だったかもな?)。

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