日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■曜日の並びの一致する年と日曜文字 よくある質問という程ではありませんが「時々ある質問」くらいにWeb こよ みのページに届く質問に 「カレンダーの日付と曜日が一致する年がありますか? そうした年があるとしたら、そうした年の出現に規則性はありますか?」 というものがあります。 本日はこの「時々ある質問」を話の種としてこよみのこぼれ話を書くことに します。 ◇曜日と日付の関係 現在使われているグレゴリウス暦は月の日数が決まっています(例外として 閏年の 2月だけ日数が変化する)ので、毎年の 1/1の曜日が決まればあとの 日付の曜日は自動的に決定されてしまいます。 ここで仮に、 1/1の曜日で 日曜日はaパターン,月曜日はbパターン,・・・,土曜日はgパターン とすると、全ての平年はこのa~gの 7種類のどれかでしかありません。閏年 の場合はといえば、 3/1でaパターンからbパターンへというように一つパタ ーンがずれるのですが、まあそれだけの話です。 さて、平年の 1年の日数は 365日。これは52週間と 1日です。 この余りの 1日がありますから、翌年の年初は今年の 1/1の曜日の次の曜日 となります。2023年はaパターンですから、来年はこれが 1ずれてbパターン の年になります。 閏年の場合の余りは 1ではなくて 2ですから、ずれの数も 2になるだけで本 質的に違いはありません。 さて、こうした話をすると必ず追加で尋ねられることがあります。それは、 「一年の日付と曜日が全く同じになるって、珍しいことですか?」という質 問。ではこの答えは? ここまでの説明で既にお解りかと思います。1年の日付と曜日の並びのパタ ーンが、基本的にはa~gまでの7パターンしかないと言うことを考えれば、 そんなに珍しいはずはありません。例えば今年、2023年と全く同じ曜日の並 びになる年をその前後の年に探すと 2017年、2034年 に見つかります。6年前と11年後。毎年というわけではありませんが、時々 は姿を現しますね。 ちなみにこうした「一致」についてなにか特別な言葉があるのかというと、 にいちばん近いものは太陽周期(Solar cycle) だと思います。この周期の 長さは28年。この28は曜日のずれのパターン 7と、閏年の出現間隔 4の最小 公倍数です。 「この28年毎にカレンダーの曜日は完全に元に戻ります」と書きたいところ ですが、残念ながら現在の暦では成り立ちません。28年周期が完全に成り立 つのはユリウス暦での話です。現在のグレゴリウス暦では閏年の算出方式が ユリウス暦と若干異なるため、太陽周期が成り立つ期間は 100年毎の期間限 定となります。 ただ、グレゴリオ暦では閏日のパターンが400年で完全に元に戻り、曜日の パターンも完全に元に戻ります(グレゴリオ暦の400年の日数は365*400+97= 146097日。これは7の倍数です)ので、ある年の400年前、400年後の年は曜 日の並び(&閏日)も完全に一致します。今年2023年に関して言えば1623年 や2423年が日付と曜日の並びが同じになります。 28年が太陽周期なら、この400年は大太陽周期とでも言うのかな? ◇日曜文字 本日の説明の始めに、年毎の1/1の曜日をパターン a~g として説明しまし た。これは説明の都合で使ったものですが、これと同じことは現実の世界で も行われていました。 キリスト教の教会暦では昔からある年の何月何日が主の日である日曜日にあ たるかを示すための方式が有りました。その方式は1/1~12/31までA,B,C,D, E,F,G,A,B,・・・と順にアルファベットを振った表を作り、主の日にあたる 日曜日がそのA~Gまでのどれにあたるかを示すというものです。 その年の日曜日を表す文字は日曜文字(Dominical Letter, ドミノ文字)と 呼ばれました。 なお、この日曜文字は平年は 1つ、閏年は 2つ有ります。これは閏日挿入の 前後で日曜文字が変化するためです。 日曜文字方式は今回私の説明した 1/1の曜日によってa~gパターンに分けた 方式とは異なり、年最初の日曜日が年の始めから何番目の日に当たるかを示 す方式ですが、1年の月日と曜日の関係は基本的(平年のパターン)には 7 種類しかないという考え方は同じです。
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