日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■上弦の半月の日と時刻について 日刊☆こよみのページの毎日の暦データを見てゆくと、時々新月とか、満月 とか、はたまた半月とかの表示があります。本日は 上弦の半月 です。 ちなみに漫画「鬼滅の刃」が大人気となったため、本日 Google の検索窓で 上弦 と入れたら、検索ワード予測一覧に並んだ文字列は 上弦の壱 上弦の鬼 上弦の月 上弦の六 上弦の参 ・ ・ ・ という言葉が並びました。 「上弦」のキーワードで検索する人の多くが何を知りたいのかがよく解る結 果でした。ううむ「鬼滅の刃」恐るべし。 ※「鬼滅の刃」、私も読みました。 映画館で映画も見ましたけど。 さて、本日の上弦の月の瞬間は日本では18時57分ですので今からだと半日後 ということになります。 先日、こんな説明をしたところ言い方がよくなかったのか、こんな質問をさ れました。 「『日本では18時57分』ということは、日本と外国とでは半月となる瞬 間は違うのですか?」 おっと、そうきたか・・・。 先に書いた説明は 「今回の上弦の月の瞬間は日本時の18時57分です」 と言っておけばよかったですね。 反省、反省。 ◇新月や満月の天文学的な定義とは このメールマガジンの読者の皆さんならば先刻ご承知のことでしょうが 半月の瞬間は世界同時 です。この問題は半月だけでなく、新月や満月についても同じで、世界同時 です。この新月や満月、半月は現在の天文学的な定義によれば世界中同時に 起こります。ただ、その瞬間を表す時刻(日付も同じ)は、使用している標 準時が国によって違うので 「今回の上弦の月の瞬間は日本時では18時57分です」 と言っておけばよかったと思ったわけです。 つまり日本時(日本標準時)では18時57分ですが、他の国の時刻は違うよと 言うことで。例えば日本と9時間の時差のある英国であれば、今回の半月は 「9時57分である」となるわけですが、時刻の違いはあくまでも時差の分の 違いであって、半月という状態となる瞬間は世界中同時というわけです。 現在の、新月・上弦半月・満月・下弦半月の天文学的な定義は、地球中心か ら見た太陽中心と月中心の黄経差が 0度 なら 新月 90度 なら 上弦半月 180度 なら 満月 270度 なら 下弦半月 となる瞬間と定義されています。 黄経とは、地球から見た太陽の動く面(黄道面)を基準として考えられた黄 道座標の経度のことです。黄道面は太陽から見た場合、地球が太陽の周りを 巡るときたどる公転面であるということが出来ますから、黄道座標とは、地 球の公転運動に基づいて組み立てられた座標系ということが出来ます。 この定義で特に注意して欲しいところは、太陽中心と月中心の黄経の差を測 る場所が「地球中心」であることです。 実際に地球の中心から見る何てことは出来ませんので、この定義は計算上の 話ですが、その計算上の基準となるのは地球の中心という一点だということ を覚えておいてください。 つまり、日本であるとか米国であるとか、英国であるとかといった「地球上 の場所」とは関係ありません。 このように地球の中心から見た月と太陽のなす角で決まる新月・半月・満月 ですから、地球上の位置とは関係なく決まると言うことです。 ◇同時だけれど、同じ時刻ではない 若干厄介なのは、現象としての半月の瞬間は同時なのですが、これをそれぞ れの国で使っている時刻で示すと、違った時刻となるため、半月という現象 そのものまで、国によって(地球上の位置の違いという意味で)異なるのだ と誤解されることがよくあるのです。 当たり前の話なのですが「私の当たり前とあなたの当たり前は違う」ことが 多多あるので、こうした誤解や、こうした誤解にもとづく視質問は尽きませ ん。 毎度繰り返される質問というものは厄介ですが、質問が一つも来ないよりは ましかな? と「こよみのページ」の管理人としては思います。 本日の暦のこぼれ話だって、そうしたよくある質問の一つが耳に入ったため に書くことが出来たのですから、よくある質問はありがたいものなのかな?
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