日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■少し早めのハロウィン(Halloween)の話 10月も下旬となって、そろそろ話題にハロウィンが登場するようになってき ましたので、本日はちょっと気が早いかも知れませんが、ハロウィンの話を 書くことにします。これからカボチャのランタン作ったり、おばけの装束作 りに忙しくなる方も多いでしょうからね。今のうちに。 21世紀に入った頃まで遡ると、日本ではハロウィン行事というのは、まだ珍 しくて海外ドラマ(多くは米国の)の中のものという感じだったと思うので すが、20年程経過して、今では10月末の行事として大分定着してきた感じが します。行事の内容はというと、正しく伝わっているとは思えない部分も多 いですけれど。 本日は、大分拡がっているのに、その割には意味がよく知られていないよう に思える、ハロウィンの話です。 ◇ハロウィンてなに? ハロウィンは元々アイルランドやスコットランドに住むケルト人が信仰した ドルイド教の行事でした。 ケルトの人々は11/1を新年の初めの日と考え、その前日に夏の終わりの日の 祭りという意味のあるサムハイン祭を行っていました。 ちなみに、この日に終わりとされる「夏」ですがその始まりはいつかという と11/1の半年前の 5/1、メイ・デーがその日に当たります。 さて、11/1が新年ですからその前日 10/31は大晦日のようなもの。 年の狭間にあたる大晦日には神々の世界が垣間見えるとケルトの人々は考え ました。そしてこの日は神が人間に様々な悪戯を仕掛けるとか、悪霊が地上 に姿を現し跳梁跋扈すると考えられました。 人々は供え物をして神やこの悪霊の悪戯を鎮め、夜はかがり火を焚いてこれ が村に近づかないようにしたといいます(かがり火は、夏が終わって力の衰 える太陽を助けるためのものという考えもあるようです)。 ハロウィンというと トリック・オア・トリート(お菓子をくれないといたずらするよ!) と子供たちが仮装をして家々を巡るイメージがありますが、この仮装はハロ ウィンの日に現れる悪霊の姿を、お菓子は人々の供え物をそれぞれ表してい るわけです。 ◇カボチャのランプ、ほんとうはカブのランプ? ハロウィンといえばカボチャのランプ。毎年世界的な検索サイトの Google のロゴはハロウィンの日には G や O の文字の部分がこのカボチャのランプ に置き換わったりするほどです。 このランプの名前を ジャック・オ・ランタン (Jack-o'lantern) と云います。 このランタンに名前を残したジャックは、生前は大変な悪戯者だったそうで そのいたずらの矛先は悪魔にまで向けられました。 悪戯に困った悪魔はそれから逃れるために、「今後はジャックにだけは悪さ をしない」と約束させられてしまいます。 ジャックに死が訪れると、その生前の悪戯のために天国には入れず、悪魔も 地獄への門を閉ざしたため、ジャックは天国と地獄の狭間の暗く冷たい煉獄 (れんごく)を最後の審判の日まで彷徨うことになりました。 そんなジャックに悪魔が唯一くれたものが小さな灯。ジャックは煉獄の道で 拾ったカブ(蕪)をくりぬいて作ったランタンに入れ、ランタンの弱々しい 光で足下を照らしながら最後の審判の日を待ちながら天国と地獄の狭間を彷 徨い続けているのだそうです。 さて、ハロウィンに現世にさまよい出る悪霊というのは、天国へも地獄へも いけずこの煉獄を彷徨う霊なのだそうで、その足下を照らすランプがあのジ ャック・オ・ランタンです。 悪魔は「ジャックにだけは悪さをしない」という約束をしてしまっているの でジャックのランプがあるところには寄りつきません。こんな訳で、このラ ンプの灯には悪霊を遠ざける効用があるということで、悪霊よけとしてハロ ウィンの夜にはこのランプを家の周りに飾るのです。 ただこの故事からするとこのランプは本来は「カブ」で作るのが正しそうで す(イギリスやアメリカには今でもカブで作る地域もあるそうです)。考え てみればハロウィン行事の発祥地、アイルランドやスコットランドは寒冷な 土地ですから、温暖な地で生まれたカボチャが昔からあったはずはありませ んね。 ではなぜカボチャになったのか? その経緯は残念ながら私は知りません。 ただ、普通のカブでランタン作るのはかなり難しい(大きさ的に)。 その点、カボチャなら・・・ってことじゃないかなと思っています。 ◇ハロウィンはキリスト教の行事? ハロウィンのように欧米から入ってきた行事はキリスト教の行事と思われが ちですが、既に書いたとおりこれはドルイド教の行事であって、キリスト教 とは関係ありませんでした。 そのため、キリスト教の教会暦にはハロウィンの文字はありません。 とはいいながら全く無関係かと言えばさにあらず。 ハロウィンの翌日11/1はカトリックなどでは、 諸聖人の日 (All Saints'Day) となっています。この諸聖人の日の英語の古名は All Hallow's Day だった そうで、 10/31はその前日(イブ)と言うことで All Hallows'Eveとなりそ の短縮形、Halloween が定着したのだと言われます。 キリスト教はそれが世界に広がって行く過程で、その土地々々の土着の宗教 や祭りの要素を取り込んで行きますが、ハロウィンという行事もそうして取 り込まれていった行事の一つと云えそうです。本来のキリスト教行事ではあ りませんでしたが、現在ではその辺の境界線は曖昧になってきています。 少なくとも日本でハロウィンの仮装を楽しんでいるだろう子供たち(&大人 たち)にとっては、キリスト教の行事だったか否かはどうでもよいことかも しれません。 ◇どうやって広がったのか 日本のハロウィンはアメリカで行われたハロウィンが取り入れられたもので す。元々はアイルランドなどで行われていた土着の行事でしたが、「悪戯が 公認される日」的な祭りであったため、この楽しい行事を懐かしんだアイル ランド系の人々がアメリカでもこれを行い、それが広がったものと考えられ ます。 日本への普及は多分、当初は幼稚園などで子供たち向けの行事として行われ るようになったのが始まりだったのではないでしょうか。 そして、子供向け行事を経験した子供たちが、時が経って大人になった頃に 何か商売になる、新しい季節のイベントってないかな? とクリスマスやバレンタインデーのような季節のイベントを探していた商売 人の目にとまって・・・。 あくまで私の想像ですけどね。 でも、現在はハロウィン関連グッズの市場の売り上げ規模は先行していたバ レンタインデーなどを超えて拡大しているとのことですから、まんざら妄想 とばかりはいえないのでは。皆さんはどう思います?
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