日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■月昼間の長さ 「月昼間」という言葉を御存知ですか? ご存じないでしょうね、というか、こんな言葉はなかったと思います。 多分、私(?)の勝手な造語です。 勝手な造語、月昼間に類する言葉としては「昼間」や「星昼間」などという ものがあります。 昼間はその文字のとおり昼の間。日の出から日没までの間を表す言葉です。 昼間がお日様(太陽)が昇っている間に対して、星昼間は太陽の代わりに星 が昇っている間、あるいはその星が南中する時刻のこと(「星真昼」ともい います)です。 昼間も星昼間もある天体が昇っている間ということであれば月が昇っている 間を「月昼間」と呼んでも良いかも、ということでの勝手な造語です。 もっとも、この言葉は私の発案と言うより、日刊☆こよみのページの読者の 方の発案というのが正しいです。以下は読者の方(Hurryさん)から頂いた メールの抜粋です。 > 月の昼 > 仮に月の出ている時間を月の昼と呼ぶことにします。 > 月の昼の長さの変化はどうなっているのでしょうか。 > 昼のように増える、極大、減る、極小、を繰り返すのでしょうか? > 急に気になったので質問します。 なるほど、「月の昼」。いい名前だな。 そう思って、星昼間という言葉の延長で「月昼間」という言葉を作ってしま いました。 ◇昼間の長さの条件 月昼間の長さの変化を考える前に、なじみ深い昼間(お日様が出ている間) の長さの変化から、昼間の長さの条件について考えてみましょう。 皆さんよくご存じのとおり、昼間の長さは夏が長くて冬は短い。もっと詳し く見てゆくと夏の時期でも「夏至」と呼ばれる日が最も昼が長く、逆に冬の 冬至の日が昼が最も短いです。 この夏至と冬至の日のお日様(太陽)には、他の日と何か違っているところ があるかとその様子をうかがって見ると、ありました、ありました。 夏至の日の太陽は一年で空の一番高いところまで昇り、反対に冬至の日の太 陽は一年で一番低くい位置までしか昇りません。 ※北半球の中緯度地帯にある日本での太陽の南中高度の話です。 ちなみに、東京における夏至の日と冬至の日の太陽の南中高度と昼間の時間 を計算すると次のようになります。 夏至( 6/21) 南中高度 77.8度 昼時間 14h 35m 冬至(12/21) 南中高度 30.9度 昼時間 9h 45m 太陽が一番高いところまで昇る日に昼間の時間も最長となるというのであれ ば、今回考える月昼間も同様で、月が一番高いところまで昇る日に、月昼間 の時間も最も長くなるのではないでしょうか? で、結論から言えば、そのとおりです。 ◇2024年の満月の南中高度と月昼間と では、月昼間も夏至の時期が最も長くて冬至の時期が最も短い? なんてこ とはありません。思い出してみてください、夏と冬の月の高さを。まずは注 目度の高い満月のついて思い出してみてください。夏の夜空に昇る満月と冬 のそれのそれぞれの高さを。 どうです、思い出しましたか? そう、夏の満月は低く、冬の満月は高いところまで昇ります。ちょうど太陽 の動きと逆です。 それもそのはずです。考えてみてください。満月とは地球からみて月が太陽 と反対の位置にあるときに見える月です。この位置関係を考えれば、太陽の 南中高度が最も高い夏至の時期の満月の南中高度は最も低くなり、太陽の南 中高度が最も低くなる冬至の時期の満月の南中高度が最も高くなるのです。 参考として1年を通した満月の南中高度と月昼間の時間を計算してみました ので御覧ください。 1/26 南中高度 74度 月昼間 14h 26m 2/24 南中高度 66度 月昼間 13h 30m 3/25 南中高度 51度 月昼間 11h 59m 4/24 南中高度 41度 月昼間 11h 3m 5/23 南中高度 29度 月昼間 9h 43m 6/22 南中高度 25度 月昼間 9h 18m (夏至の頃) 7/21 南中高度 29度 月昼間 9h 48m 8/20 南中高度 44度 月昼間 11h 23m 9/18 南中高度 55度 月昼間 12h 29m 10/17 南中高度 66度 月昼間 13h 35m 11/16 南中高度 80度 月昼間 15h 13m 12/15 南中高度 83度 月昼間 15h 37m (冬至の頃) このように、南中高度が高いほど昼間時間が長くなることは太陽と同じです が、お日様(太陽)と満月の昼時間の季節変化は正反対となることがわかり ます。 ◇月昼間時間の変化は、結構複雑 今回は月昼間といいながら、満月の月昼間についてだけを考えましたが、月 昼間の時間と季節変化は月の満ち欠けによっても変化し、また年ごとにその 長短に差があります。 こうした話も書かなければいけないのですが、長くなりますので本日はこの 辺で。また、第2弾(第3弾?)を書くことになると思いますが、それまでし ばらくお待ちください。
日刊☆こよみのページ スクラップブック