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■八専と八専の間日の話 何か書くことないかなと思いながら、話の種を暦のデータを眺めていたら、 明日2024/2/28の暦注の箇所に「八専間日」とありました。 そっか、明日は八専と八専の間日の話が書けるな と思いましたが、そう思いながら明日まで辛抱できずに本日、この話を書い てしまいます(明日に持ち越して、忘れちゃうといけないからね?)。 ◇「八専」の撰日法 暦注の日取りの計算の方法を撰日法といいます。 撰日法には、途切れること無く循環する「不断」といわれるもの、二十四節 気の節で区切った期間によって数える節切り、旧暦の暦月毎に数え方を変え る月切りなどが有りますが、八専は日の干支によって決まる「不断」の暦注 です。 日の干支とは、十干(じっかん)と十二支(じゅうにし)の60の組み合わせ を毎日一つずつ割り付けたもので、60日ごとにめぐってきます。例えば今日 は「辛酉(かのとの とり)」で、明日は壬戌「みずのえ いぬ)」となっ ています。 八専はこの日の干支の組み合わせによって決められる暦注ですから、その撰 日法は連続して循環するタイプ、「不断」と呼ばれる撰日法によって求めら れる暦注のひとつです。 八専は日の干支の組み合わせによりますから、60日間に一度は八専は巡って 来ることになります。今回についていえば2024/2/18~2/29が八専の期間と なっています。 大体、日の干支できまる暦注というのは、その干支(「干」を天干(てんか ん)、「支」を地支(ちし)とよびます)を五行説に従った解釈の結果から 意味付けられたもので、現代から見ればこじつけ以外の何物でもないのです が、その迷信を信じている人は、まだ結構いらっしゃるようです。 五行説(万物を、木火土金水の五つの性質で分類したもの)から見た天干と 地支の性質は、次のように考えられます。 天干 甲乙:木 丙丁:火 戊己:土 庚辛:金 壬癸:水 地支 寅卯:木 巳午:火 丑辰未戌:土 申酉:金 子亥:水 天干・地支の後に書かれた「木、火・・・」が五行説から見た性質です。 八専は日の干支が壬子~癸亥までの12日間のうちの 8日間。八専は天干と地 支の性質が同じになる日が並ぶ時期です。 例えば最初の壬子は、天干は「壬」でその性質は「水」。地支は「子」でそ の性質はこれもまた「水」。つまり天干と地支の関係が「水・水」となるわ けです。 八専の期間は12日間ですが、この中で上記のように天干と地支の五行が同じ になる組み合わせは8日だけですので、残り4日間は八専の間日(まび)とい われる、八専の例外の日となります。 今日の日の干支は「辛酉」なので五行の組み合わせは「金・金」となります から八専の性質を持つことになりますが、明日は「壬戌」で「水・土」とな って五行の組み合わせがそろいません。 こうした天干と地支の性質がそろうことを「専一(せんいつ)」といい、八 専は専一となる日が一カ所に集まっている期間です。専一の日は天干・地支 とも同じ性質なので、善いことは更に善く、悪いことは更に悪くなるという ような増幅効果がある日だと昔の人は考えたのです。ですから、吉事には善 いのですが凶事には注意しなければならないと云うことです。 八専の間日とはこの天干・地支の関係が専一とならないため、この期間の例 外とされています。 八専は六十干支の組み合わせで出来たものですから60日毎に巡ってきます。 暦と云えば日の吉凶判断とばかりにこうした暦注を見ては日の吉凶を気にす る方が多いのですが、その仕組みを知ってしまうと 「なんだ、そんなものか」 という程度のもの。 験担ぎ程度に眺めるのはよいですが、こんなものに振り回されて、道を誤る ことのないようにいたしましょうね。 (日刊☆こよみのページの読者の皆さんは大丈夫でしょうけれど)
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