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■旧暦五月は「ざくろの月」
 今日は 6/7、旧暦では5/2。
 昨日から、旧暦は五月となりました。

 旧暦五月には、その異称の一つに「榴月(りゅうげつ)」というものがあり
 ます。「榴」はその一文字で石榴(ざくろ)を表す文字ですから、榴月とい
 う名前は「ざくろの月」という意味です。

 旧暦の五月はあの鮮やかな石榴の紅い花の咲く「ざくろの月」です。
 中国の宋時代の詩人、王安石(おうあんせき)の石榴詩の中に

  万緑叢中紅一点(ばんりょく そうちゅう こういってん)

 という言葉があります。
 一面の緑の中にただ一点の紅花が異彩を放つ様を表した言葉です。
 「紅一点」といえば現在は大勢の男性の中にただ一人女性が混じることを表
 す言葉ですが、これは王安石のこの詩の情景から生まれた言葉です。

 旧暦時代の五月は、季節の区分では夏。
 春を花の季節とすれば、夏は葉っぱの季節です。
 日一日と茂り、それとともにその緑の色を濃くして行く草や木の葉。
 まさに万緑の頃です。

 その緑の葉っぱの季節に「一点の紅」となる花をつけるのが石榴です。
 石榴は緑の葉っぱの季節にあっても、一際濃い緑色の葉をつける木です。そ
 の濃い緑の葉の間に見える紅色の花は自然に人の視線を引き寄せます。

 多くの花が木々の枝を飾る春であれば、石榴の花もそうした花の一つと数え
 られるだけだったかも知れませんが、花の季節ではなく葉の季節に咲くこと
 によって、強い印象を与える花となりました。

 私の家のお隣さんの庭には石榴の木が一本植えられています。
 その石榴の木は暦が「ざくろの月」の始まりに合わせるように紅い花をつけ
 始めました。ざくろの月が終わる頃には石榴の花の季節も終わり、酸っぱい
 石榴の実へと姿を変えて行くのでしょうね。

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