日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■「九星」ってなあに?(基礎編) 今日の主な暦注を見てゆくとと有ります。 これは九星という占いでは本日という日は「四緑木星」だと言うこと。 本日は、暦を基にした占いとしてよく見かける「九星」について書いてみる ことにします。ただし、長くなりすぎないように本日は「基礎編」として、 さわりだけ書くことにします。 さて、最初の文で「日家九星 四碧木星」と書きました最初の「日家」は、 日付に対する九星だという意味です。 「日」があれば当然のように年・月・時にも九星が配置されています。これ を区別して使う場合は 年 : 年家九星(ねんかきゅうせい) 月 : 月家九星(げっかきゅうせい) 日 : 日家九星(にっかきゅうせい) 時刻: 時家九星(じかきゅうせい) と言い表すことになります。そしてそれぞれに九種類の名前が付きます。 一白水星・二黒土星・三碧木星・四碧木星・五黄土星 六白金星・七赤金星・八白土星・九紫火星 というものがそれです。 「九星」なんていうので天体の星と関係が有るように誤解されがちですが、 実際に見える星とは何の関係も有りません。 では九星とは何かというと・・・数の遊びです。どんなふうになっているの かを示したものが次に示す(A)~(C)です。少々見づらいですがお許し ください。 (A) (B) (C) 四九二 一六八 七三五 三五七 九二四 六八一 八一六 五七三 二四九 A・B・Cはそれぞれ九つの数で正方形が作られていますが、それぞれ縦横 そして斜めに足してみましょう。 (A)の例 縦: 4+3+8 = 15 , 9+5+1 = 15 , 2+7+6 = 15 横: 4+9+2 = 15 , 3+5+7 = 15 , 8+1+6 = 15 斜: 4+5+6 = 15 , 2+5+8 = 15 ごらんになって判るとおり、縦横斜何れの和も15になります。 こうした縦横斜めの行の和が全て同じ数となるような組み合わせを「魔方陣 (まほうじん)」といいます。 九星はこうした魔方陣の中でも単純な「3×3」の魔方陣です。 ちなみに魔方陣にはもっと複雑な「4×4」や「5×5」などもあります。 上記の三例でAは完全ですが、Bの例は残念ながら魔方陣としては不完全で す。斜めの行が 1+2+3 = 6 となってしまいますから。 ただ、こうした場合は 1+2+3+(9) = 15 という具合に 9を加えたり引いたりすると、一応同じ和になり、九星ではこ れでOKとなります。こうしたわけでBの例は魔方陣としては失格ですが九星 としてはセーフと判定されます。 昔中国の誰かが、この「不思議な組み合わせ」を見つけて、これには何かの 意味が有るに違いないと考えて、占いに仕立てたのが九星です。こう言って しまうと身も蓋もない話になってしまうので、ここに九星占いの出生にまつ わる伝説が登場します。 『禹(「う」。中国古代の伝説上の王。夏王朝の祖)が黄河の治水工事を しているときにその支流の洛水という名の河から現れた亀の甲羅にこの 「不思議な数」が描かれていて、禹がこれを研究して生まれたのが九星 占い』 というのがその出生伝説。この伝説で九星占いの元となった図形が落水から 現れた亀の甲羅に描かれたというのでこれを「亀書(きしょ)」とか「洛書 (らくしょ)」といいます。 本当のところは、「ほんの数字遊びです」では占いとしての説得力が無いの で権威付に作られた伝説なんでしょうね。 九星の配当の順番もその原理も簡単で、はめ込まれた数字を一定の順序で順 送りに変えてゆけばいいだけです。そう判ってしまえば何てこともないもの なのですが不思議なもので、こんなものでも 「今日は吉日か悪日か」 なんて、それらしい理屈を付けてしまうと、これを信じてしまう方も出てく るのです。こうして、元々は多分数の遊びだった九星が、今では立派な占い の一つとなってしまっています。 以上、本日は「九星」とは何かの基礎的な話でした。 九星占いについての説明としては、大分ネガティブな話でしたけれど。
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