日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)

■コカ・コーラ、日本上陸!!
 まだまだ暑い日が続いています。
 こんな暑い日には、冷たい飲み物が欲しくなりますね・・・ということで本
 日は「コカ・コーラの日本初上陸の日」の話です。

◇日本での歴史は105年
 日本でコカ・コーラの販売が始まったのは、1919(大正 8)年のこと。コカ
 ・コーラの日本年齢は105歳と云うことになります。
 長生きで何より。

 コカ・コーラを最初に発売したのは、食料品店の明治屋と満平薬局。
 発売当時のうたい文句は、

  『衛生的にも嗜好的にももっとも進歩せし世界的清涼飲料水』

 だったそうです。
 コーラの宣伝文句に「衛生的」という言葉が使われているのが、なんだか奇
 異な感じですが、「衛生」という言葉は明治時代の流行語でしたから、大正
 時代にもまだ、その名残があったのでしょうかね? それとも衛生という言
 葉に特に敏感なのは、今も昔も変わらぬ日本人の特性なのかな?

 おっと、いけない。話をコカ・コーラに戻しましょう。
 日本初登場のコカ・コーラでしたが、その売れ行きはどうだったかというと
 これが・・・、全く売れずに、間もなく販売は中止となりました。
 日本人に受ける「衛生的」のうたい文句も効果無しだったみたいです。

◇コカ・コーラは薬?
 コカ・コーラの日本初上陸が失敗に終わった理由は「薬臭い」こと。これが
 嫌われたためのようです。いまでもコカ・コーラと云うと薬臭いと嫌う人が
 いますね。このコカ・コーラの薬臭さですが、仕方がないと言えば仕方がな
 いことです。だってコカ・コーラは、元々「薬」として生まれたものなので
 すから。

 コカ・コーラの生みの親はジョン・ペンバートンと云う方。
 精力増強・頭痛緩和などに効果のある万能薬としてコカイン入りのシロップ
 を作り、これを水で薄めて販売していたそうです。ところがある店員が、水
 ではなく誤って炭酸水で薄めて販売してしまったところ、これが美味しいと
 評判となり、これがコカ・コーラの元となったと云われます。

 コカ・コーラの「コカ」はコカインのコカ。つまりコカ・コーラはコカイン
 入りの炭酸飲料ということですね。

 こうして、元は嗜好品というより薬として扱われたため「薬臭い」のもあた
 りまえと云えばあたりまえ。日本で最初に発売した店が、満平薬局というの
 もなるほどと云うことですね。

 なお、1903年以降、コカイン使用が禁止になり、現在のコカ・コーラにはコ
 カインは入っておりません・・当たり前ですが念のため。

◇コカ・コーラの再上陸
 一旦は日本から撤退した(?)コカ・コーラですが、その再上陸は太平洋戦
 争終戦後のアメリカ軍の進駐と共に。コカ・コーラは米軍では公認の嗜好品
 として軍需物資扱いがなされていましたので米軍と共に広がったわけです。
 そして、1961(昭和36)年に貿易自由化によって一般の日本国民でも手に出来
 るようになり、大ヒットして現在に至っております。

※コカ・コーラは明治屋等から一般への販売が始まった1919(大正 8)年以前
 にも輸入されており(1912年頃からといわれます)、ハイカラな方々の間で
 は既に飲まれていたようです。一例としては1914年に発表された高村光太朗
 の詩集『道程』に収録された『狂者の詩』の中に

  コカコオラ、THANK YOU VERY MUCH
   (中略)
  コカコオラもう一杯

 とコカ・コーラが登場しています。
 以上、補足でした。

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