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■新暦・旧暦の日次の一致の周期(その1)
 今年は、新暦の11月と12月と旧暦の日次が一致していました。
 もう少し砕いて言えば

  新暦 11/1~11/30 は旧暦 10/1~30
  新暦 12/1~12/30 は旧暦 11/1~30

 と一致しています。
 現在はこの日次が一致した期間の終わり間際です。間際ではありますが、ま
 だ期間のうちなので、今のうちにこの話は書いておかないと行けないと思っ
 て慌てて書いております。そのため申し訳のようにタイトルに

  その1

 と書いております。
 さて、その2があるのかどうか・・・。

◇始まりはいつものように
 新暦と旧暦の日次が一致している期間は

  「今月の十五夜はいつだったか?」

 なんて考えるときに楽でよかったです。同じようなことを考えた方は読者の
 方々の中にも大勢いらっしゃったのでは?

 実は今年の新暦と旧暦の日次の一致については、2024/11/02号の日刊☆こよ
 みのページで採り上げた話題ではありますが、今回は周期性があるのかどう
 かについて確認してみようと思い、書き始めました。
 始まりは次のようなメールをいただいたことから。

 --------- 読者の方からのメール(抜粋) --------------------
 質問ですが、今年の11月に引き続き12月の2か月に亘り、月こそ違い
 ますが新・旧暦の「日付」が全く同じ状態でした。 
 一々旧暦の日付を見る事無い2か月で有る面便利でも有りました。個人的
 にはこの一致は割と珍しい?と思っておりましたが、周期的なものは有り
 ますでしょうか。
 次に同じ現象となるのは何時になるのか? などが判りましたら教えて頂
 きたくメールした次第です。よろしくお願い申し上げます。
 --------- 読者の方からのメール(抜粋)・ここまで ----------

 本当に同じように考えた方がいらっしゃいました。

 「1匹見かけたら30匹はいると思え」というのは某昆虫のことですが、同じ
 ことは人間にもいえること。こうした事柄に疑問を持つ方が1人いるという
 ことは、同じ疑問を持つ方がその蔭にきっと30人くらいはいるだろうと言う
 ことで、この質問について答えていきたいと思った次第。
 毎度のことながら、始まりはメールからでした。
 では、いただいた質問について答えていきたいと思います。

1.新暦と旧暦の日次の一致は珍しい? 次の一致はいつ?
 これについては微妙なところです。
 実例で見て見ましょう。次のリストは2000~2050年までの期間で、新暦と旧
 暦の日次が一致する年月です。()内が新暦月です。

  2003年( 2, 5)  2008年( 8)    2011年( 7)    2014年( 1, 3)
  2016年( 9,10)  2019年( 8)    2022年( 2, 4, 5) 2024年(11,12)
  2027年( 9)    2030年( 6, 7)   2033年( 1, 3)   2035年(10)
  2038年( 8)    2041年( 2, 4)   2043年(12)    2046年( 9)

 これを見ると、日次の一致が起こる月は数年に1度、現れます。
 数年に1度が珍しいか否か? ということで「微妙」と書かせていただきま
 した。珍しいと思うかどうかは各人の感覚にお任せですね。

 ちなみに、もう一つの「次の一致はいつ」についていえば、御覧のとおりで
 2027年9月です。

2.新暦と旧暦の日次の一致の周期性
 日次の一致が数年に一度あるのはわかりましたが、周期性にようなものはあ
 るのかというと、一応あります。
 日次の一致する月と次に日次の一致する月が出現するまでの間隔を新月(つ
 まり、旧暦で1日(朔日)となる日)の回数で表すと次のようになります。

   1 (35例),  2 (21例),  3 ( 6例)
  31 (25例), 32 (20例), 33 (20例), 34 (24例), 35 (11例), 36 ( 2例)
  65 ( 2例), 66 ( 9例), 67 ( 7例), 68 ( 4例), 69 ( 2例),
  98 ( 2例),100 ( 2例),101 ( 2例)
 ※計算は1843~2299の間(1843~1872年も現在の新暦があるとして計算)。

 これを見ると、1~3,31~36,65~69,98~101の4つのグループがあることが
 わかります。
 1~3について言えば、今回のように 11月と12月のように連続あるいは、1
 ~2ヶ月離れ(この場合、間には2月が入る)て現れる例です。

 そのほかのグループについてはおよそ33,66,99という33の倍数とその周辺に
 現れるのがわかります。あれれ、33ってどこかで見たような・・・。

 そうでした、この間隔って旧暦の閏月が入る平気間隔。旧暦は暦と太陰暦に
 季節の変化(太陽の動きと言い換えてもいい)をある程度一致させるために
 二十四節気という太陰暦の要素を組み込んだ暦で、閏月は太陰周期(月の満
 ち欠けの周期)に基づく暦月(正しくは暦月名)を季節に合致させるために
 加えられる補正の月ですから、これが入ることによって、旧暦は近似的に太
 陽暦に一致します。

 ただし、新暦の暦月の始まりは二十四節気の「節気」・・・例えば立春とか
 啓蟄とか・・・の節入り日と一致しているわけではないので、閏月が入った
 ら即、日次の一致が起こるというものではありませんが、周期の長さには強
 い関連性が有り、一度日次の一致が起こると、その33朔望月後付近に再び日
 次の一致が起こる可能性が高まるという次第です。

3.積み残し問題
 2で示したリスト作る際に計算した結果から、新暦の月によって日次の一致
 が起こる率に違いがあるのか? とふと思ってたしかめてみました。
 結果は

   1月(18回), 2月(14回), 3月(18回),
   4月(17回), 5月(19回), 6月(15回),
   7月(14回), 8月(14回), 9月(16回),
  10月(20回),11月(14回),12月(16回)

 これを見ると最小は14回(2,7,8,11月)、最大は20回(10月)のようにばら
 つきがあります。これって、偶然?

 新暦の暦月の日数は不均一でその配置もしっかりした規則性がないので、暦
 月毎の日数の組み合わせがこの日次の一致の起こる回数の不均一と関係する
 のかも知れません。
 この辺については、もう少し考えて結論が出た暁には

  新暦・旧暦の日次の一致の周期(その2)

 が書けるかも知れません(書けないかもしれません・・・)。
 「その2」の有り無しは明言できませんが、ひとまず戴いたメールへの回答
 として書いた「その1」はこの辺で終了いたします。
 乱文、失礼しました。

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