日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)

■「念仏の口明け」の日の雑話
 今日は1月(正月)16日、「念仏の口明け」の日です。
 お正月の間、唱えることがはばかられていた念仏が解禁される日です。

 「念仏の口明け」は12月16日の「念仏の口止めと対になる日です。この念仏
 の口止めと口明けは正月に家々に宿る年神様が念仏を嫌うために、年神様が
 いらっしゃる間は念仏を唱えないとして、念仏を唱えてはいけないとされる
 期間の始め(口止め)と終わり(明け)の日を表しています。口止めされる
 期間はちょうど1ヶ月です。
 
 辞書を引くと

 ・念仏の口止め
  12月のある日に仏の祭納めをすること。
  この日以後、正月の念仏の口明けの日までは念仏を唱えない。

 ・念仏の口明け
  (関西地方で)正月になって初めて仏を祭って念仏する日。

   《広辞苑・第七版》

 とあります。辞書にも載るほどなので、まあまあ一般的な言葉といえそうで
 す。念仏の口止め・念仏の口明け(「後生始め」ともいいます)の期間は地
 域によって異なるようですが、こよみのページでは、念仏の口止めを12月16
 日、口明けを1月16日としています。

 それぞれの日付けから考えるとこの念仏を唱えない期間は、正月の準備が始
 まる頃から、年神様が天にお帰りになるまでの間といえそうです。

 年神様は左義長の火の煙に乗って天にお帰りになるそうですから、今頃は地
 上を去って、天にいらっしゃるはず。ということで、1ヶ月の間年神様に遠
 慮してくださっていた仏様に対して念仏を唱えることが出来るようになると
 いうことですね。

 神様が念仏を嫌うというのもなんだかなという気もしますが、変に争い合う
 より、譲り合って(?)それぞれの立場で私たちを見守ってくれているのか
 なと考えると、それもまんざら悪いことでもないのかもしれません。

 「いい加減な」

 と言われそうですが、言い方を変えれば「大らかさ」かな?
 「念仏の口止め」「念仏の口明け」という日が来る度にこんないい加減さも
 またよしだよなと感じるかわうそでした。

日刊☆こよみのページ スクラップブック