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■「春一番」の吹かない年?
 まだ時々寒い日が現れますが、それでもさすがに春分の日を過ぎると、春ら
 しい暖かい日が増えてきています。どうやら今年も冬は去って行ったようで
 す。よかったよかった。

 冬が去って春が訪れるという季節の交代があったとすれば、冬と春の季節の
 交代には、例年、通過儀礼とでもいうべき気象現象があります。それは

  春一番

 という風です。

◇春一番とは
 言葉について、いつもお世話になる広辞苑によれば、「春一番」とは

 『立春後、はじめて吹く強い南寄りの風。天気予報では、立春から春分
  までの間に広い範囲ではじめて吹く、風速毎秒8メートル以上の暖い
  南寄りの風をいう。はるいち。』
   《広辞苑・第七版》

 だそうです。ただし各地の気象台が発表する春一番については、それぞれの
 地方によって、その基準には多少の違いがあって必ずしもこの辞書の説明ど
 おりで内容ですが「立春~春分までの間に吹く、南寄りの強い風」であるこ
 とは共通です。

 春一番が吹く原因は日本海を低気圧が発達しながら通過して行く場合にこれ
 に向かって南方から風が吹き込むことによります。南方からの風ですから暖
 かく、春一番が吹く日は暖かい日となります。

 暖かい風によって、冬の間眠りについている木々の芽や花の蕾は目をさます
 ことになるのでしょうね。
 春一番は少々荒っぽい強い風ですが、木の芽、蕾の目を覚まさせるためには
 これくらい荒っぽい方が効果的なのかな?

◇もとは、漁師が恐れた風の名前
 さて、この春を知らせる少々荒っぽい風の名前は、もとは漁師を恐れさせた
 時化(しけ)を呼ぶ春の風の名だったそうです。

 春の始めに吹くこの強い南風を「春一番」と呼ぶようになったきっかけは安
 政 6年(1859)に壱岐(長崎県)の漁民がこの風に吹かれて起こした大量遭難だ
 と云われます。この遭難で亡くなった方は53人にのぼったとか。これ以後、
 漁師たちは春の初めのこの強い南風を「春一(はるいち)」と呼んで恐れる
 ようになったと云います。

 街中では、「少々荒っぽい風だな」くらいで済みますが、海の上では命に関
 わる風だったということです。

◇今年の春一番が吹いたのはいつ?
 春一番が吹く日付は年によって遅速があります。また春一番が吹かない年と
 というのもあるので、単純に平均をとるのは難しいのですが、「春一番が吹
 いた日」を平均すると春一番が吹く平均的な時期は2/26頃だそうです。平年
 並みであれば、1ヶ月ほども前にこの風が吹いたはずですですが・・・

  あれ? そうだっけ??

 各地の「春一番」の定義の共通点には

  「立春~春分までの間に吹く、南寄りの強い風」

 とあります。今年はもう春分の日を過ぎましたので今年の春一番の日は確定
 しているはず。
 そう思って、今年の春一番の日を調べたところ、これをまとめてくれていた
 Web サイトが見つかりました。

  そらくら https://sorakura.jp/haruichiban/

 有り難いことです。
 ということで、早速私の住む近畿地方の日付けを見て見ると

  「近畿地方 ・・・ 観測なし」

 あらら。そっか、今年は近畿地方では春一番に当たる風が吹かなかったんで
 すね。
 この『そらくら』に載っている他の地域の値も見て見ると、なんと北陸地方
 (2/3)と九州南部・奄美(3/3)の二つの日付けがあるばかりで、他の

  関東、東海、近畿、中国、四国、九州北部地方

 については「観測なし」となっていました。北陸と九州南部・奄美以外の地
 方では、今年はどうやら

  春一番の吹かない年

 だったようです。
 よかった、私がぼんやりしていて気がつかなかったわけじゃなかったんだ。
 最後は、なんだか変なことで安心してしまった、今朝のかわうそでした。

※おまけ
 前述しましたWeb サイト「そらくら」には文中で書きました地域による春一
 番の基準の違いも書いてありましたので、興味のある方は、このサイトで確
 認してください。
 ということで、今回お世話になった「そらくら」を再度、御紹介。

  そらくら https://sorakura.jp/haruichiban/

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