日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■5月4日、「ラムネの日」の雑話 「ラムネ、子どもの頃によく食べました。今でも好きですよ。」 これは、30代半ばの知人に「ラムネって知ってる?」と聞いたときに返って きた言葉です。 なるほど、回答してくれた方が思い浮かべたラムネは、あのシュワッと口の 中で溶ける白いタブレット状のお菓子だったようです。質問した私が考えて いたのは、シュワッとした飲み物のラムネだったのですが。 ラムネといわれて食べるラムネが浮かぶか、飲み物のラムネかの違いは回答 者の30代と質問者(私)の60代という年齢の違いなんですかね? だとする と今後「ラムネ」というと多くの方は食べる方のラムネを思い浮かべること になるんでしょうかね。 さて、なぜいきなり「ラムネ」の話を始めたのかといえば、答えは簡単。 今日、5月4日が「ラムネの日」だからです。 この日は、1872年、つまり明治5年にラムネの製造・販売の許可が下りたこ とを記念する日です。明治5年って、ざっと150年以上も昔のこと。当時の日 本に既にラムネという名前の炭酸飲料が存在していたとは、ちょっと驚きで す。もちろんここで言っているのは「飲む方のラムネ」のこと。お菓子じゃ なくて、瓶に入ってるあれです。 最近では、飲み物のラムネはお祭りとかイベント以外ではあまり見かけなく なってしまいました。 代わって、飲むラムネの爽やかなイメージをそのまま受け継いだ錠菓タイプ のお菓子、いわゆる「食べるラムネ」がすっかり定着しています。 このお菓子としてのラムネの誕生時期については1881年といわれますが、こ れ以外にも諸説あってはっきりしませんが、かなり前から存在していたこと は間違いなさそうです。 さて、飲むラムネといえば、あの独特な瓶が思い出されますよね。 中に「ラムネ玉」と呼ばれるガラスの球が入っていて、それが炭酸の圧力で 内側から栓になっているという、不思議な仕組み。子どもの頃、どうやって 中に入ってる球で栓ができるのか、本気で不思議でした。最初に開けるとき の「ポン!」という音や、ラムネ玉を押し込むワクワク感、今でもよく覚え ています。 でも、その特殊な瓶の構造が逆にネックになったのかもしれません。 この特殊な瓶は作るのが難しく高コストになってしまったのです。その上、 分厚いガラスの瓶ですから重い・・・。ペットボトルや缶の炭酸飲料が出て くると、だんだんと飲むラムネは姿を消していきました。完全になくなった わけではないけれど、今ではレア感のある存在です。 一方で、食べるラムネの方はというと、どんどん勢いを増していって、今で はスーパーやコンビニの棚に必ずと言っていいほど並ぶ存在に。「ラムネ菓 子」という立派なカテゴリーまでできてしまうほどです。種類もいろいろ増 えて、子どもだけでなく大人にも人気があります。 こうして見ると、「ラムネ」という言葉のイメージも昔の「飲むもの」から 「食べるもの」へと、ゆっくり時間をかけて切り変わっていったように思え ます。個人的には、この変化が起きたのは昭和の終わりから平成の始めあた りじゃないかなと感じていますがどうでしょう。 もちろん明確な区切りがあるわけじゃないけれど、「ラムネ」と聞いて何を 思い浮かべるかで、その人のおおよその世代が分かる気がします。もちろん 私は「飲む方」のラムネ世代。ガラス玉入りの瓶を手にした、あの夏の日の 記憶が今でも鮮明に残っています。 さて、あなたはどちらのラムネ世代? ついでに余談ですが、「ラムネ」にはもう一つ、「月賦(分割払い)」を意 味する隠語としての使い方もあるそうです。 確かに「ゲップ」がでますからね。 でも正直言って、私の世代でもそんな使い方をした記憶はありません。ラム ネを月賦の隠語として使ったという方々はたぶん、私より一回りか二回り程 上の方々なんでしょうね。 「ああ、月賦の意味で『ラムネ』を使ったね」 そんな、先輩世代の方、いらっしゃったらお便りください。 お便りが届いたら、どうしようというのかは考えていませんが。
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